
アジア制覇、大会MVP、得点王。佐藤龍之介との約束を果たすも…U-17日本代表のエース北原槙は悔しさを滲ませる。10番が強調した「もっともっと」の真意【現地発】
[U-17アジア杯]日本 3−2 中国/5月22日/Hall Stadium Legends
現地5月22日に行われたU-17アジアカップの決勝。かつて湘南でも指揮を執っていた浮嶋敏監督が率いる中国に対し、前半は3−0。相手に先制を許したウズベキスタンとの準決勝(1−1/3PK2)で露呈した前半の入りの悪さを改善し、ゴールを重ねた。
31分にMF里見汰福(神戸U-18/2年)、42分にFW齋藤翔(横浜FCユース/3年)、そしてATにはMF北原槙(FC東京/2年)が“これぞエースの仕事”と言えるような素晴らしいショットでネットを揺らす。だが、グループステージ(2−1)で対戦した時と同じく、後半早々にカウンターから失点。以降も後半開始からシステムと選手を変えてきた中国の術中にハマり、探りながらのプレーが続いた。
前半のような鋭い攻撃もなくなり、79分には自分たちのミスから最後はCB元砂晏翔仁ウデンバ(鹿島/3年)がエリア内でファウルを犯してしまう。このPKを決められて1点差となり、終盤は相手の猛攻を受けることに。なんとか凌いで2大会ぶり5度目の優勝を果たしたものの、心から喜べるような内容ではなかった。
今秋のワールドカップ出場を決め、優勝もしたとはいえ、厳しい口調で課題を口にした選手たち。大会MVP、得点王に輝いた北原も個人賞を総なめにした喜びを感じつつも、危機感を露わにした。
「大会前に目標としていた優勝と、得点王、MVPを取れたことはすごく嬉しい」と前置きしたうえで、「後半はチームとしても個人としても甘い部分が出た」と胸中を吐露。試合後のミックスゾーンで笑顔はほとんど見られなかった。
もちろん、圧倒的な結果を残したのは間違いない。今年1月のU-23アジアカップで優勝し、MVPと大会トップスコアラーに輝いたFC東京の先輩・佐藤龍之介からも大会前に発破をかけられ、個人賞の総取りとアジア制覇を約束してサウジアラビアに乗り込んだ。
「約束していたので、しっかり果たせたのは嬉しい」と話したように、今大会は5試合で6ゴールの大活躍。グループステージの第1戦(カタール/3−1)で2ゴール、第2戦(中国/2−1)は決勝点を決め、タジキスタンとの準々決勝(5−0)もドッピエッタで勝利に貢献した。
そして、この決勝でも決勝点を記録するなど、左右の足から放たれるシュートは強烈かつ正確。決定力で存在感を示し、局面を打開する力や強度の高い守備も光った。「10番の価値、北原槙の価値を示す」。今大会は何度もその言葉を口にし、自分自身にプレッシャーをかけながら目覚ましいパフォーマンスを披露した。
だが、決勝の内容に不満が残り、悔しさを滲ませたのはさらなる成長を目ざしたいからこそ。今秋のU-17ワールドカップで勝ち上がるためには、さらに強くならないといけない。「もっと、もっと」と最後の囲み取材で話したのも、「これでは優勝できない」という想いがあるからだ。
高校2年生ながら昨季からトップチームで活動する北原の側には、A代表で最後までワールドカップのメンバー入りを争った佐藤がいる。アカデミー育ちの大先輩の振る舞いを見ていれば、まだまだやるべきことがある。アジア制覇、MVP、得点王を果たしても、より高みを目ざすのは自然の流れであり、もっとやらないとうえにはいけない。
帰国すれば、再びトップチームで熾烈な競争が待っている。U-17世代を牽引する男の挑戦に終わりはない。今回の喜びに浸る間もなく、10番は次なる戦いに目を向ける。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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