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ピラミッドが4600年間も崩壊せずに残っている秘密を解明か

ピラミッドが4600年間も崩壊せずに残っている秘密を解明か

Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

エジプト・ギザにそびえるクフ王の大ピラミッドは、古代世界の七不思議の中で唯一、現在まで姿を残している建造物です。

完成からおよそ4600年。

その間、砂漠の風、気温差、外装石の喪失、そして地震にもさらされてきました。

それでも大ピラミッドの主要構造は大きく崩れず、今なお巨大な石の山としてではなく、精密に積み上げられた建築物として立ち続けています。

なぜ、これほど古い建造物がここまで長く生き残れたのでしょうか。

エジプト国立天文学・地球物理学研究所(NRIAG)のチームは、この謎を地震学と地盤工学の視点から調査。

その結果、大ピラミッドは地面と同じリズムで揺れにくく、さらに内部の空間構造が振動を和らげている可能性が示されました。

つまり、大ピラミッドの長寿の秘密は、単に「重くて頑丈だから」だけではなかったのかもしれません。

研究の詳細は2026年5月21日付で学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

目次

  • 大ピラミッドは地面と同じリズムで揺れにくい
  • 「重量軽減の間」は揺れも逃がしていた可能性

大ピラミッドは地面と同じリズムで揺れにくい

建物が地震で大きな被害を受ける理由の一つに「共振」があります。

これは、地面の揺れと建物の揺れやすいリズムが近いとき、ブランコを同じタイミングで押すように揺れが増幅されてしまう現象です。

小さな力でも、タイミングが合えば揺れは大きくなります。

そのため、建物と地盤がどの周波数で揺れやすいかを調べることは、地震に対する強さを考える上で重要です。

チームは、大ピラミッドの内部と周辺の37地点に携帯型の加速度計を設置し、環境振動を測定。

環境振動とは、遠くの交通、風、海の波が地球を伝わる動き、地殻に常に存在する微小な揺れなどによって生じる、ごく小さな振動です。

文化財を壊さずに構造の特徴を調べられるため、巨大な古代建築には非常に適した方法です。

測定の結果、ピラミッド周辺の地盤では、主な振動周波数がおよそ0.6ヘルツでした。

一方、ピラミッド内部の多くの場所では、2.0〜2.6ヘルツの範囲に集中していました。

これは、地盤とピラミッド本体の揺れやすいリズムが大きくずれていることを意味します。

このずれによって、地震のエネルギーが地面からピラミッド本体へ効率よく伝わりにくくなり、揺れの増幅が抑えられている可能性があります。

ギザの大ピラミッド/ Credit: ja.wikipedia

実際、ギザ周辺では1847年に推定マグニチュード6.8、1992年にマグニチュード5.8の地震が記録されています。

それでも大ピラミッドの主要構造が大きく崩れなかった背景には、こうした振動特性の違いが関係しているのかもしれません。

また、大ピラミッドは硬い石灰岩の上に築かれています。

研究では、周辺地盤の地震脆弱性指数も調べられており、少なくとも測定された範囲では、地震時に大きく変形しやすい地盤ではないことが示されています。

広い基礎、低い重心、上へ行くほど軽くなる形、左右対称に近い構造も、揺れや転倒、ねじれに対して有利に働いたと考えられます。

大ピラミッドは、現代の高層建築のように柔軟に揺れを逃がす建物ではありません。

むしろ、重く、低く、広く、安定した巨大な石の構造物です。

その性質が、地盤との周波数のずれと組み合わさり、長期的な安定性を支えてきた可能性があります。

「重量軽減の間」は揺れも逃がしていた可能性

今回の研究でもう一つ注目されたのが、王の間の上にある「重量軽減の間」です。

これは、王の間の真上に縦に重なる空洞で、従来は王の間にかかる重さを分散し、天井が押しつぶされるのを防ぐ構造だと考えられてきました。

名前の通り、主な役割は「重さを軽減すること」と見なされていたのです。

しかし今回の測定では、この空間が振動に対しても特別なふるまいを示していました。

ピラミッド内部では、一般に高い位置ほど振動の増幅が大きくなる傾向がありました。

ところが重量軽減の間では、その下にある王の間よりも振動の増幅が低くなっていたのです。

これは、重量軽減の間が単に荷重を分散するだけでなく、振動や応力の伝わり方を変え、揺れを和らげる役割も果たしている可能性を示しています。

たとえるなら、ぎっしり詰まった石の塊の中に、力の流れを分ける緩衝地帯のような空間が設けられていたことになります。

もちろん、古代エジプト人が現代的な意味での地震工学を理解し、意図的に耐震設計を行っていたとまでは言えません。

研究者たちもこの点には慎重で、観測された耐震的な特徴と、意図的な耐震設計とは区別すべきだと述べています。

ただし、古代エジプトの建築には、長い試行錯誤の歴史がありました。

その過程では、崩壊したり、設計を修正したりした例もあります。

つまり、大ピラミッドの強さは、突然生まれた天才的な設計というより、何世代にもわたる観察、失敗、改善の積み重ねから生まれたものだった可能性があります。

古代の建設者たちは、周波数や共振といった現代的な言葉を持っていなかったかもしれません。

しかし、どの角度なら崩れにくいか、どの地盤なら安定するか、重さをどう逃がせば部屋を守れるかを、実践を通じて知っていたのでしょう。

その結果として生まれた大ピラミッドは、王の権力を示す巨大な墓であると同時に、地震に対しても思いがけず強い構造になっていたのかもしれません。

ピラミッドは、ただ古いだけの遺跡ではありません。

4600年もの時間を耐え抜いたその姿は、古代エジプト人の工学的直感と、世代を超えた改良の記録でもあります。

現代の研究によって、その石の沈黙の中から、彼らが積み上げた知恵の一端がようやく聞こえ始めているのです。

参考文献

The Great Pyramid Has Survived 4,600 Years. A Strange Feature May Help Explain Why.
https://www.sciencealert.com/the-great-pyramid-has-survived-4600-years-a-strange-feature-may-help-explain-why

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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