5月24日、牝馬クラシックの二冠目であるオークス(GⅠ、東京・芝2400m)が行なわれる。
オークスを迎えるにあたって桜花賞から800m延びる「距離延長」は毎年話題にのぼるテーマではあるが、今年もやはり「スターアニス(牝3歳/栗東・高野友和厩舎)は2400mに対応できるか?」が最大のテーマになるだろう。
桜花賞(GⅠ)では上がり最速である33秒7の末脚を繰り出し、2着に2馬身半という決定的な差を付けて戴冠したスターアニス。走破時計も1分31秒5という歴代2位の速さで、文句の付けようがない内容での勝利だったと言える。父が短距離ダートで活躍したドレフォン、母がスプリント重賞2勝のエピセアロームという血統であっても、そのマイナス要因を覆してオークスを制しても驚きはしない。
しかし一方で、桜花賞で強い勝ち方をした馬がオークスで沈んだシーンもまた少なからずあった。いささか古い話にはなるが、桜花賞を3馬身半差で圧勝したニシノフラワー(父Majestic Light)が7着に敗れた1992年。桜花賞を4馬身差で快勝したキョウエイマーチ(父ダンシングブレーヴ)が11着に惨敗した1997年。近年で言っても、2021年の桜花賞を1分31秒1のレースレコードで制したソダシ(父クロフネ)が、オークスで8着に沈んでいることを忘れてはならない。
スターアニスの場合、気掛かりなのは走破時計の速さだ。前述したソダシが打ち立てたレースレコードとは0秒4差の1分31秒5は立派な数字だが、ここに表れたスピード能力の高さが諸刃の剣となって、スタミナも要求されるオークスでは負のベクトルへ働きはしないか懸念が浮かぶ。
これらを受けて本稿での決断は、スターアニスを本命とはせず、もし悪い意味で血が騒いだ場合には馬群に沈むケースもありとしつつ、3番手の▲評価としておきたい。
主軸としてクローズアップしたいのは、非桜花賞組のラフターラインズ(牝3歳/美浦・小笠倫弘厩舎)だ。本馬のストロングポイントは何と言っても強烈な決め脚。ここまでの5戦ですべて上がり最速の末脚を使い、近3走ではいずれも32秒台を記録しているのだから、その凄まじさは驚異的。なかでも前走のフローラステークス(GⅡ、東京・芝2000m)では直線8番手から一気に突き抜け、最後は手綱を抑える余裕がありながら2着のエンネ(牝3歳/栗東・吉岡辰也厩舎)に1馬身1/4(0秒2)の差を付けて圧勝した。大外の18番枠に入ったことを憂慮する声もあるが、ゲートの出が遅いラフターラインズにとっては、揉まれることなくレースを進められるという意味でかえって好都合。腕達者なダミアン・レーン騎手の連続騎乗も心強い材料である。 対抗には“未完の大器”、アランカール(牝3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)を推す。単勝1番人気に推された阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)で5着に敗れて、次走のチューリップ賞(GⅡ)からは鞍上を武豊騎手にスイッチ。しかし同レースは3着、桜花賞は5着と追い込み切れず、苦しいレースが続いている。
しかし、あらためて注目すべきはその血統。父エピファネイアはジャパンカップ(GⅠ)の勝ち馬で、日本ダービー(GⅠ)は2着。母のシンハライト(父ディープインパクト)は2016年のオークス(GⅠ)勝ち馬で、東京の芝2400mという舞台においての配合的なレベルの高さは出走馬中、随一と言っていいだろう。近2走は後方から大外を回っての競馬になったが、武豊騎手が共同会見で「桜花賞では期待に応えられる結果ではありませんでしたので、今度こそという気持ちで挑みたいです」と述べていることからしても、従来よりも積極的なレースを仕掛けるのではないか。ラフターラインズに次ぐ決め脚を持つ本馬にとって、東京の長い直線はきっと味方となってくれるはずだ。リビングレジェンドの手綱捌きを含めて魅力は尽きることがない。
4番手以下には5頭を挙げておく。桜花賞9着からの巻き返しを狙うクイーンカップ(GⅢ)勝ち馬で、母にヴィクトリアマイル(GⅠ)を制したノームコアを持つドリームコア(牝3歳/美浦・大竹正博厩舎)。デビュー2戦目のフローラステークスでラフターラインズと並ぶ最速の上がりを使い、2着に食い込んで高いポテンシャルを見せ付けたエンネ。今回が重賞初挑戦ではあるが、前走の矢車賞(1勝クラス、京都・芝2200m)で逃げて後続を完封し、母に2014年のオークス馬ヌーヴォレコルトを持つトリニティ(牝3歳/栗東・安田翔伍厩舎)。2戦2勝で底を見せておらず、君子蘭賞(1勝クラス、阪神・芝1800m)で2着を2馬身半(0秒4)も突き放して圧勝したキタサンブラック産駒のアンジュドジョワ(牝3歳/栗東・福永祐一厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズ4着で、エルフィンステークス(L)は差し切り勝ちを果たし、桜花賞13着大敗からの巻き返しを期すスウィートハピネス(牝3歳/栗東・北出成人厩舎)。ここまでを△に推奨したい。
最後に、今村聖奈騎手の女性ジョッキー初のクラシックレース騎乗が大きな話題になっているジュウリョクピエロ(牝3歳/栗東・寺島良厩舎)に触れておく。オルフェーヴル産駒らしく気性の難しさを持つ本馬だが、その血が良いベクトルに向けば爆発的な力を発揮するのは、前走の忘れな草賞(L、阪神・芝2000m)での豪快な後方一気を見ても分かるとおり。寺島調教師も共同会見で「パドックからゲートに入るまでがすべて」と、その気性の危うさを認めている。あとは鞍上の腕次第となるが、今村騎手は東京・芝2400mへの騎乗は初めてのこと。GⅠレースにもわずか3度目の参戦となる。それゆえ高い評価は下し難いが、オルフェーヴルの狂喜の血を御せた場合を想定して連下の押さえとして△を献上しておく。
文●三好達彦
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