「配達先は、誰も住んでいないはずの家だった」。とある地方の郵便局の集配部では、霊を鎮めるために“配達物”を届けることがある。新人配達員・配根一通は、一つの届け物をきっかけに、姉妹が命を落とした悲しい真相へと近づいていく…。〈漫画『85円の遺言』第1話〉
日常的に霊と対峙する郵便配達員たち
そこは、とある地方の郵便局の集配部。ごく普通の配達員たちが働く職場だが、彼らには少し変わった日常がある。
なぜかこの集配部は霊に縁があり、霊を鎮めることができるイケメン配達員、霊に取りつかれやすい班長、霊の存在は信じていないが事件には敏感な女性局員など、個性的な面々がそろっている。彼らにとって、怪異に対処することは珍しい事件ではない。
ある日も、配達員の一人が霊障によって身体が動かなくなってしまう。そんな時にするべきことは、お祓いをすること? いや違う。霊を鎮める方法は、お札でも呪文でもない。霊が求めている“配達物”を届けることだ。
どんないわくつきの場所であっても、指定された場所に配達物を届ける。それは、郵便局員として当然の仕事でもある。こうして彼らは、これまで何人もの霊を鎮めてきた。
漫画家・送達ねこ氏の新連載『85円の遺言』は、そんな集配部に異動してきた新人配達員・配根一通を主人公にした物語だ。
配根は、幼いころから霊を見ることができる体質。お人好しな性格ゆえに、困っている人や霊を放っておけない。だが、それゆえに霊に取りつかれ、厄介なトラブルに巻き込まれてしまうことも……。
怖いだけではなく、どこか切なくてやりきれない事件の数々。“配達”という日常の仕事を通して、成仏できずに残された者たちの思いが描かれていく。
第1話で配根が訪れるのは、かつて仲のいい姉妹が暮らしていたという一軒家。いまは誰も住んでいないはずのその家に届いた一つの届け物をきっかけに、姉妹を引き裂き、彼女らの命を奪った悲しい過去と、今も強く残り続ける霊の思いが浮かび上がっていく。
果たして、“届ける”ことで、霊は救われるのか。『85円の遺言』第1話をお届けする。
文/集英社オンライン編集部

