欧州クラブシーズンの最後を飾る大会『CEVチャンピオンズリーグ(CL)』は、日本代表の主将・石川祐希が所属するシル シコマ モニーニ・ペルージャ(大会担当スポンサーをクラブ名に表記)の2連覇で幕を閉じた。昨季の初冠に続きさらなる偉業を果たした会場で、石川にインタビュー取材を敢行した。
ディフェンディングチャンピオンのペルージャは、4回戦からスタートの全10試合を白星で終えての完全優勝だった。Final Four(ファイナルフォー)と名付けられた2日間にわたる最終決戦の準決勝でポーランドリーグ3位PGE プロジェクト・ワルシャワにストレート勝ち。決勝でも同リーグ王者アルロンCMCワルタ・ザビエルチェを完勝で粉砕して再び欧州の頂点へ上り詰めた。
2月に負った右膝の怪我が影響し、リリーフサーバーでの出場となった石川は胸に輝く今季4つ目の金メダル(CL、リーグ、スーペルコッパ、世界クラブ選手権)とともに、シーズンベストと言える内容だった決勝のチームパフォーマンスを笑顔で振り返った。
「今日の試合に関して、第1セットは僕たちペルージャと相手のザビエルチェが非常にレベルの高いバレーボールでサイドアウトを取り合う戦いになりました。本当にハイクオリティーなセットだったと思います。(接戦になった1セット目は)最後の方にブロックされてやばいかなと思ったところもありましたけど、逆にブロックを返してもう本当にどちらが取ってもおかしくないセットでした。そこを取りきれたところは一つ僕らが強かったなと感じています」
「2セット目、3セット目に関しては相手にミスが出始めてサーブレシーブも崩れ出しました。それに対して僕たちは常に1セット目のようにサイドアウトが切れていればあまり負けることがないので、(相手は)そこで踏ん張れなくなったなと思います。3セット目は僕らがブロックディフェンスとサーブで攻めの戦いを仕掛けられたので、戦況が変わる心配はないなと安心した気持ちで見ていました」
昨季は最大級の活躍でクラブの悲願だったCL優勝に貢献。現地のメディア関係者やサポーターたちは、「あのCL初優勝はユウキがいたから」と今も繰り返す。しかし、今回は2月から3か月近くに及んだ負傷離脱により、混戦となった第1セットの17-17でリリーフサーバーとして起用されるに留まった。以降のセットは、ペルージャが早期に主導権を握り2大会連続の優勝へと疾駆した。
「1セット目は試合の流れを見ながらリリーフサーバーで出場機会があるかなぁと予想していましたけど、その後のセットは点差がこれだけ離れたら声がかかることはないなと思いながら見ていました。僕がそのような形で起用されないときこそ、チームとして良く機能している証で全然プラスなことですから。外から見ていてこのチャンピオンズリーグの決勝でチームは非常に良いバレーができたと思います」
その第1セットは終盤まで1点を追いかける展開が続き、巻き返してつかんだセットポイント3回を阻止された後、セット先取のチャンスは相手へ。しかし、ペルージャは難局を跳ね返して試合を先行した。イタリア王者に輝いた今季リーグ・プレーオフでも見事な攻勢で大差を覆してきた。「チームの一員であるからこそ感じる“強さ”とは?」の問いにこう答えた。
「チームの中のいる者として、サイドアウトがしっかり取れるところがやはり強さかなとは思いますね。そこがやっぱり僕たちのよりどころ。レセプションが非常に良い選手ばかりなのでそれがペルージャの生命線だと感じています。堅実にサイドアウトを重ねられる。そこが崩れない限り、相手にとってはなかなか厳しい戦いになると思います」
「イタリアリーグでは相手チームのサーブが強力なのでリードを許すケースはありましたけど、CLに関しては大きくリードされることがなかったかなと。5点とか大量リードされない限り、1、2点のビハインドは僕らにとってまったく問題ない展開なんです」
その礎は目に見えないものではなく、明確な“ファクト”にあると言う。
「メンタルっていうよりも、それ以上にテクニックと戦術ですね。僕らはそこをメインにしているので。詰まるところサイドアウトの取り方だったり自分たちのやるべきことを練習通りにプレーをするだけなんです。(アンジェロ・ロレンツェッティ)監督は、点数をつけたりして強いこだわりを持って練習を行ないます。1点、1本に妥協を許さない。その追及を日常的にやっていれば試合でも問題ないと言われてきました。なので何が強いって言われたら、対戦相手は多分サイドアウトがしっかり取れることやレセプションがうまいと答えるかなと思いますけど、僕らにとって大事なのは練習でやってるままをどの試合でもしっかり発揮することなんです。僕自身が一緒に練習している中で、また試合を見ていてもそれこそがこのチームの強さだと理解しています」
活躍の場を得て躍動した1年目の昨季。今季は予想外の怪我に見舞われ後半から景色が変わった。
「怪我に関しては何て言うんですか、もう仕方がないことなので。ちょうどシーズンの大事な時期に怪我をしてしまったので、その時点で出場機会が減ることや先発に入るのが難しくなることは分かっていました。僕自身も焦らずにまず怪我を治すことを優先したので、悔しいというふうな気持ちよりも自分のやるべきことに集中して出場機会が少しでもあればいいなぐらいの感覚でいました。実際その通りになったと受け止めていますし、僕個人のこととは切り離してチームが頑張ってくれたことを本当に嬉しく思っています」
コートを縦横無尽に舞って勝ち取った昨季の欧州初制覇。その直後に取材で目にした熱気とまばゆい輝きを帯びたユニホーム姿を忘れることはできない。ペルージャに籍を置く者として今回の2連覇を心から喜び、口惜しさをすべて消化して言葉を紡いた背番号14。静かに語る口調に“必ずまたあの高揚をまとってみせる”、そんな新たなシーズンへの鋭気が漂っていた。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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