5月に入って早くも夏日が続く中、長ズボンとジャケットで通勤している男性にとって、ハーフパンツは喉から手が出るほどのありがたい味方だ。東京都はこの4月から、ノーネクタイ・ノージャケットに加えて、Tシャツやハーフパンツの着用まで認める「東京クールビズ」を始めた。
夏場中心の従来型と違い、年間を通して職員が自由に服装を選べるのが特徴で、都はこれを民間にも広げたい意向だという。
ところがここに冷水を浴びせたのが、SNSで上がった声である。
「おじさんのハーフパンツはキモイ」
すね毛が見える、生足が暑苦しい。気持ちはわからなくもないが、これがもし逆だったらどうか。
「おばさんのノースリーブは二の腕が無理」
「おばさんのミニスカがキモイ」
そう言えば即座に炎上し、ルッキズムだ、女性蔑視だと袋叩きにあうことだろう。
ところが相手が男性になった途端、容姿への侮蔑は「率直な感想」として許容されようとする。このダブルスタンダードは、そろそろ見直していい時期ではないか。長ズボンを汗だくで履き続けるのと、ハーフパンツで快適に働けるのとどちらが健全かは、論じるまでもない。
確かに不快に映るシーンがゼロかと言われれば、そうではないだろう。だが原因はハーフパンツそのものではなく、丈やサイズ、色、清潔感、そしてすね毛…要するに見せ方の問題なのだから、ここを整えれば批判はある程度、避けられよう。
押さえるべき条件は簡単だ。まず丈は、膝頭が半分隠れる程度から膝上1~2センチ。短すぎる5インチ系は若者向けで、長すぎる膝下系は野暮ったい。
次にシルエットは、太腿にピチッと張りつくのもダボッと垂れるのも避け、軽くゆとりがある程度がちょうどいい。色は黒、ネイビー、チャコール、ダークオリーブ。明るい原色やビビッドな柄は、肌の露出と相まって悪目立ちする。
Tシャツではなくポロシャツや開襟シャツを合わせる
では具体例を挙げてみよう。アウトドア由来でタウンユースに落とし込んだ定番がグラミチのSTショーツで、販売店によって税込8500円前後で扱われている。膝上丈とほどよい太さの中間バランスで、ウェビングベルトとガゼットクロッチによる履き心地は折り紙付きだ。
同じアウトドア系でも素材感を変えるなら、パタゴニアのバギーズ・ロング7インチ(税込9900円)。股下18センチのナイロン速乾素材で、5インチより5センチほど長く、街でも違和感がない。色は黒を選べばまず外さないだろう。
もう一段、大人に振りたいなら、イタリア・プーリア州のパンツ専業ブランドBERWICH(ベルウィッチ)のSCOTCH SHORT(税込3万1900円~)。2プリーツとサイドアジャスターを備えたショーツはスラックスの延長で履けて、ポロシャツや開襟シャツとの相性が抜群だ。
仕上げはヨレたTシャツではなく、ポロシャツや開襟シャツを合わせる。靴下は中途半端な丈で見せず、カバーソックスかレザーサンダルで処理する、すね毛は剃り落とさず、トリマーで量を整えるだけでいい。清潔感は若作りではなく、見る側の負担を減らす作法のことである。
それでも文句を言ってくる相手には、堂々とこう返せばいい。「あなたが言われたら傷つく言葉を、こちらが我慢して聞き続ける義理はない」と。
(ケン高田)

