
東京V、痛恨の“6失点完敗”を経て。指揮官と選手たちが改めて強調した「成長へのフォーカス」と「手放してはいけないもの」
東京ヴェルディは5月24日、J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第18節で横浜F・マリノスと対戦。0-6とホームでまさかの大敗となった。
序盤、ボールを保持しながら主導権を握ろうと奮闘した東京Vは、開始20分頃まではいくつかチャンスを作るも、スコアを動かせない。
すると24分にカウンターから近藤友喜にゴールを決められて先制点を献上。35分に谷村海那、45+1分にユーリ・アラウージョにもネットを揺らされて前半だけで3失点。後半に新井悠太を入れるなど攻撃的な姿勢を見せたが、開始十数秒で谷村4点目を決められると、58分にユーリ・アラウージョ、90分には途中出場のテヴィスにダメ押し弾を許した。
試合後に城福浩監督は、今節に向かう準備段階での脆さを反省した。
「今週の自分の準備が悪かった結果、このような試合内容にしてしまったと心の底から思う。このチームが手放してはいけないものを手放した状態で試合をするとこうなると今更ながら改めて深く強く感じた試合だった」
指揮官が反省点として挙げたのは、試合に向けた準備と“手放してはいけないもの”の徹底だ。今週のトレーニングについて、林尚輝は「今まで積み上げていたものがあって、そこからさらに進化したいという思いもあっての攻撃的な練習をしてきた」と主体的にボールを動かす形にチャレンジしていたことを明かした。
実際にピッチでそれを表現しようと尽力したものの、結果には結びつかなかった。それ以上に自分たちの大事にしているものが出せなかった。試合後のロッカールームでは、指揮官がキャプテンと副キャプテンに選手たちへ少し話をさせたという。そのなかで、副将の林は「もう少し熱量を出せたのではないか」とチームの根幹に触れ、「結果で導くことが全くできていないので、そこの熱量をもっと持たないといけない」と強調した。
副将の言葉を聞いた齋藤功佑も「選手全員が自分に矢印を向けていた。やるしかないと重く受け止めて、次に活かす考え方だった」とロッカーでの選手たちの思いを明かし、“手放してはいけないもの”の重要性を改めて口にした。
「試合が終わった後のミーティングで監督は自らの責任だと選手たちに話してくれた。けど、どんな準備をしたとしても僕らが大事にしているものはみんなが分かっているはずだし、そこがシンプルに表現できなかったところに責任はある。その上で成長しなければいけない。絶対にフォーカスしないといけないものもあるし、色々な意味で悔しい。大事にしているものを継続しながら、プラスアルファで成長しなければいけない」
J1に昇格して2年半が経ち、東京Vが磨き上げてきたアイデンティティはトップカテゴリーでも確立されつつある。今季も開幕前のキャンプから徹底的な走り込みを行ない、シーズンが開幕すれば終盤までやり切って勝ち星を重ねて一時は首位に立つまでに躍進を見せた。
チームとしての上積みを目指すなら次なる挑戦は必要であり、昨年も残留争いに巻き込まれる前までは攻撃的なスタイルへのチャレンジをしてきた。今回の横浜FM戦へ向けた準備もその延長線上にあったはずだ。
ただ、“手放してはいけないもの”という土壌が揺らいでしまえば、その挑戦は成立しない。今節は、その現実を痛感させられる一戦となった。土にまでこだわらなければ、大輪の花を咲かせることはできないのだ。
取材・文●藤井圭
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