文化祭の作品展で
10月、地域の文化祭で子どもたちの作品展がありました。息子の絵を見に立ち寄ると、会場の奥に人だかりができていました。何だろうと近づいて、私は足を止めました。
並んでいたのは、夕暮れの町、雨上がりの空、暗い部屋の窓辺。光と影の表現が、子どもの絵とは思えない深さで描かれていたのです。
「これ、本当に小学生が描いたの?」周りの大人たちが口々に言っていました。作品の名札に書かれていたのは、あの男の子の名前でした。
学校に来ていないあの子が、毎日この絵に向かっていたのだと、ようやく気づいたのです。
そして…
絵の前で立ち尽くしている私に、視線を感じて振り返ると、あの子のお母さんが少し離れたところに立っていました。
気づけば私は近づき、頭を下げていました。「ごめんなさい。私、何も知らずに勝手なことを」と、それだけ伝えるのが精一杯でした。
お母さんは少し驚いた顔をしたあと、穏やかな声で答えました。「いいんです。私も、最初は同じことを自分に言っていましたから」その言葉に、私はますます顔を上げられなくなりました。
学校に行く、行かないという一つの線の外側に、こんなにも豊かな世界があったのに、私はその線の中だけで人を測っていたのです。
(40代女性・専業主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
