
「視界から消える」相手DF泣かせのストライカーが覚醒! FC東京U-18樋口佳、“泥臭さ全開”で量産態勢へ
今季に入ってからの成長は著しい。ルーキーイヤーの昨年は怪我の影響もあり、高円宮杯U-18プレミアリーグでの出場機会を得られなかったが、今季は開幕戦の青森山田高戦で2ゴールを奪うと、5月に行なわれた東京ヴェルディユースとの東京ダービーではハットトリック。EASTの得点ランキングで2位につける働きを披露するのが、FC東京U-18のFW樋口佳(2年)だ。
プレースタイルを挙げるとすれば万能型だ。
「背はそんなにデカくないのですが、簡単に倒れないし、ボールへの執着心が凄くある。練習でマッチアップしてもいやらしい場所に立つというか、ディフェンダーの視界から消えるようなポジションに立っているので、凄く捕まえにくい。ポストプレーもできるし、足が速いので背後に抜けることもできる」
そう評するのは主将を務めるDF松野泰知(3年)で、176センチ・65キロのプロフィールからは考えられないほどフィジカルが強く、屈強なDFと対峙してもそう簡単には倒れない。DFライン裏へのボールに対する反応も鋭く、様々なパターンからシュートに持ち込める。
ストライカーとしての多彩さ以上に目を惹くのはプレーの泥臭さで、本人も「誰よりも泥臭くゴールに向かっていくところには自信がある。とにかく誰よりも走り、前からの守備でチーム貢献する。そうした泥臭いところが自分の武器」と胸を張る。
5月23日に行なわれた川崎フロンターレU-18との多摩川クラシコでも、泥臭いプレーは光っていた。前半9分に奪った先制点は樋口のハイプレスで、相手のビルドアップからボールを奪った場面が起点となったもの。良い意味で“獰猛”という表現がよく似合うアグレッシブな守備は試合終盤でも落ちず、チームへの貢献度は高い。
「守備も毎試合チームで一番走って、常にハイプレスをかけてくれている。ボールを奪いきれなくても、ああやって走ることでコースを限定してくれているので、後ろからしたら助かる」(松野)。
力強くゴールに迫るプレー、強いプレッシャーを受けてもボールを失わない粘り強さも売りで、後半18分に生まれたチーム5点目もハーフウェーライン付近で樋口がバランスを崩しながらもボールを失わず、チームメイトに繋いだから生まれたゴールだった。自身のゴールこそ1点に終わったが、ピッチ上で見せた存在感は絶大だった。
昨年は怪我明け後も調子が上がらず、メンタル的に落ち込んでいた時期もあったが、今季はすでに8ゴールだ。
「今年は試合に使ってもらっているので結果を残さなければいけないと思うし、誰よりも得点を取らなければいけないという自覚がある。そういうところが今の結果に繋がっていると思う」
また、IDP(個別育成プラン)の一環として佐藤由紀彦コーチとシュート練習に取り組んできた成果も出始めている。
中学時代に所属したFC多摩ジュニアユースの先輩たちの活躍も刺激になっている。2歳上のFW古屋歩夢(ベガルタ仙台)はプロデビュー戦で初ゴールを記録。同じピッチに立って日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で優勝を果たした1歳上のFW吉田湊海(鹿島アントラーズ)も先日J1デビューを果たし、今季はユースチームでも出場。プレミアリーグEASTで得点ランキングのトップ(11得点)を走る。
「自分も負けていられないとモチベーションになる。刺激はたくさんもらっています」
FC東京に欠かせない選手になりつつある樋口だが、現状に満足していない。「まだ大事な試合というか、僅差の試合で得点を取ってチームを勝たせる経験があまりない。負けている状況や同点の状況などチームが苦しい時に点を取って、勝たせられるフォワードになりたい」と頼れるストライカーへの変貌を誓う。
取材・文●森田将義
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