栃⽊県上三川(かみのかわ)町の⺠家で5⽉14⽇に住⼈の富⼭英⼦さん(69)と愛犬が惨殺された事件。強盗殺人容疑で逮捕された横浜市の無職、竹前海斗容疑者(28)がトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の末端に組み込まれて犯行の指令を受け、4人の高校生を実行犯として集めて襲撃を指示した疑いが強まっている。
その海斗容疑者が、特殊詐欺に関わるとみられるグループの周辺人物と以前から行動をともにし「カンボジアに行く」とも口にしていたことがわかった。
カイトは使いっ端、っていうか末端も末端だけど…
海斗容疑者が育った横浜市保土ヶ谷区の知人らによると、海斗容疑者は高校を数か月で中退し、その後は親戚の紹介で就職もしたが仕事はどれも長続きしなかったという。
だが数か月前には横浜市内の飲食店で、高級腕時計やバッグを身に付けて妻の美結容疑者(25)や数人の知人と飲み、一人で支払いを済ませる姿も目撃されており、金回りがいい時期もあったとみられる。その背景をうかがわせる海斗容疑者の交友関係を知人が話した。
「カイト自身は凶暴でもなんでもない。地元の祭りでは先輩に可愛がられて、後輩からも慕われていた。あいつのことを悪く言う近しい奴はいないだろ。
でもカイトが半グレとつるんでいたのは事実だ。2、3年くらい前にカイトの元カノの当時の彼氏と知り合ってそいつに引き込まれたんだ。まあカイトは使いっ端、っていうか末端も末端だけど。
カイトを引き入れたのはその界隈では知られた人物で、金を持ってて力を誇示してる。それで無茶するタイプっていうか、カイトから見たら怖かったと思う」(知人)
注目されるのは、その人物が身を置いていた界隈だ。
「元カノの彼氏の全体像はわからないが、その周辺は詐欺をメインにしていたんだ。それでカイトも『カンボジアに行く』みたいなこと言っていた時があった。何しにって? 詐欺だろうな」(知人)
現在、カンボジアでは各国から拉致されたり志願して来たりする特殊詐欺の“掛け子”が10万人を超えて稼働しているといった推計もある。
「掛け子は中国系を中心とする犯罪組織が持つ“犯罪団地”と呼ばれるマンションなどから『オレオレ詐欺』や投資詐欺、ロマンス詐欺に引き込む勧誘電話やSNSの発信を繰り返しています。日本人も大きな標的で、現地犯罪組織と組んだ日本のトクリュウが勧誘発信をする“掛け子”を送り込んだり、国内でも“受け子”を手配したりしています。
トクリュウ犯罪は、上三川町の強盗殺人のように凶悪な暴力犯罪が目立ちますが、もともとは特殊詐欺が中心でした。警視庁が全国から捜査員を集めたトクリュウ専従チームを昨年に設置したのも特殊詐欺被害の拡大が契機になりましたが、このチームが今回の強盗殺人対応の中心になっています」(社会部記者)
「ヤクザじゃないからいつでも抜けられる」
「カンボジア」というキーワードが出たことで海斗容疑者が「元カノの彼氏」を介して特殊詐欺を手掛けるトクリュウとの接点を持っていた可能性が浮上した。
「心配した仲間の中にはカイトに『お前、大丈夫なんか?』と声をかけた友達もいたんだけど、カイトは『ヤクザじゃないからいつでも抜けられる』って取り合わなかったらしい。その話を聞いて『甘いこと言ってんな』と思ってた」(海斗容疑者の知人)
上三川町の事件では、富⼭さんが殺害される以前から自宅付近で不審な車やバイクが何度も目撃され、そのうち1台は3月に東京都新宿区百人町で起きた酒店の窃盗未遂事件に使われた車に酷似している。
さらに、殺害1週間前の5月7日には富山さん宅近くにいた茨城県八千代町の無職、渡辺昌英容疑者(41)が盗難ナンバープレートを付けた車に乗っていたとして盗品等保管容疑で逮捕。渡辺容疑者は「闇バイトに応募した」と供述している。
警察庁はこうした一連の事件やその前段階の下見とみられる行為を、なぜ特定のトクリュウ組織が実行部隊を代えて行なわせたのか、複数の組織の間で情報が回って実行されたとみている。

