監督・原案・脚本を是枝裕和が手掛け、綾瀬はるかと大悟(千鳥)のW主演による映画「箱の中の羊」がいよいよ、5月29日に公開される。
そのストーリーをオフィシャルサイトからかいつまんで説明すると、「ある夫婦が、亡くした息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れたことで、家族の時間は再び動き出すが、そこには想像を超える未来が待ち受けていた」というもの。
「綾瀬はるかと大悟のW主演」の第一報を聞いた時は驚かされた。演技のイメージがない大悟だけに、はたして俳優など務まるのだろうかという懸念があった。
しかし逆に、大悟が敬愛してやまない志村けんが、主演の高倉健からの熱烈なオファーを受けて「鉄道員」に出演し、その演技が絶賛された歴史的事実から、「もしかしたら凄いことになるかも」なんて淡い期待を抱いていた。
なので、先日閉幕したばかりの第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、本作の評価が非常に厳しいものだったとのニュースを知り、「大悟、アカンかったか」と思うと同時に「綾瀬はるかはまたババ引いちゃったな」と残念でならなかった。
綾瀬はるかはこれまでテレビドラマでは「世界の中心で、愛をさけぶ」「ホタルノヒカリ」「JIN-仁-」「義母と娘のブルース」といった作品で、主役・ヒロインを演じて好評を博してきた。
しかし、こと映画に関しては、そこまでのヒット作に恵まれていない。特に長谷川博己とのW主演作「はい、泳げません」(2022年5月公開)をはじめ、木村拓哉とのやはりW主演作「レジェンド&バタフライ」(2023年1月公開)、現在も交際中と噂されるジェシー(SixTONES)との馴れ初めとなった「リボルバー・リリー」(2023年8月公開)と、近年の主演作はどれも「大コケ」と言われたものばかり。
ようやく今年4月に公開された「人はなぜラブレターを書くのか」が興行収入10億円を突破し、台湾での上映も決定という明るい報せがあったものの、また「箱の中の羊」で評価を落とすようなことがあれば、悲しいことこの上ない。
「大事なものは目に見えない」はたして大悟の演技は…
片や大悟は5月25日の「大悟の芸人領収書」(日本テレビ系)で、「箱の中の羊」での自分の演技について「ほんまにな、なんの役作りもしてないねん」と明かしている。
思えば2018年の第71回カンヌ国際映画祭では、同じく是枝監督作の「万引き家族」がパルムドール賞を受賞した際、終盤の取調室における安藤サクラの、言語を超越する凄みある圧倒的演技が大絶賛されたと記憶している。
もちろん、稀代の女優と、初めて本格的な演技に挑んだお笑い芸人とでは、別次元の話ではあるが、「大悟」という人間がいったい何者なのかも詳しく知らないあちらの方々と我々とでは、作品の見方からしてだいぶ違うだろう。
「箱の中の羊」とは間違いなく、サン=テグジュペリの「星の王子さま」の一節から取られたものだ。「大事なものは目に見えない」。はたして「なんの役作りもしてない」という大悟の演技から、我々は大事なものを感じることができるだろうか。
(堀江南/テレビソムリエ)

