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塩田一期、テニミュ・刀ミュで感じた舞台の面白さ “一期一会”を大切に、歌と芝居で大きなステージを目指す

塩田一期、テニミュ・刀ミュで感じた舞台の面白さ “一期一会”を大切に、歌と芝居で大きなステージを目指す

塩田一期
塩田一期 / 撮影=梁瀬玉実

10月10日(日)より開幕する舞台『忘却バッテリー』で、国都英一郎役を務める塩田一期。「ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン」乾 貞治役、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの南海太郎朝尊役など、人気2.5次元舞台シリーズに次々と出演を重ねている注目の25歳だ。スカウトでの芸能界入りエピソードから、舞台への思いや出演作での学び、俳優仲間とのプライベートまでじっくり語ってもらった。

■スカウトからの芸能界入りで“一期一会”を実感

──塩田さんが芸能界に入ったきっかけはスカウトだそうですが、その時点で芸能界や俳優という仕事への憧れはあったのでしょうか?

昔からドラマはよく見ていましたけど、憧れというよりも、普通に楽しく見ていただけで。自分がその世界に入るなんてまったく考えていなかったです。

──では、スカウトされた高校生のときの将来の夢は何でしたか?

正直、将来の夢はなかったのですが、「保育士っていいな」と思い始めて、保育士の専門学校に行くことを決めていました。でもスカウトしていただいたときに、「俳優をやってみるのもありかな」と思って。それまでも自分のことをカッコいいなとは思っていたし(笑)、昔お母さんが芸能事務所に履歴書を出したこともあるんですよ。スカウトされたことを話したらお母さんも「その道があるなら行ってみたら?」と言ってくれて。しかも、僕はもともと人混みがあんまり得意じゃないので、普段は落ち着いた場所で遊ぶんですけど、その日は珍しく友達に誘われて原宿に行って、そこで今のマネージャーさんに声をかけてもらったんです。だからそれも今思えば奇跡で。

──確かにすごいタイミングですね。

はい。しかも、最初に竹下通りに行こうとしたんですけど、人が多かったから「やめようか」と思って引き返したところで声をかけられたんです。本当に“一期”一会だなと思いました。

──そして2021年5月、「ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン」で初の舞台出演を果たしました。

正直最初は「なんで決まったんだろう」と思うくらい不安な気持ちがありました。ダンスも歌も未経験だし、芝居も、その前にワークショップに通ってはいましたがぺーぺーだったので、技術がまだまだ見合ってないかもなって。だけど、選んでいただいたからには、学べるものを学んで、素敵なものをお届けできればと思っていました。

──実際に初めて舞台でお芝居をしてみていかがでしたか?

最初に立ったステージは、本公演ではなくて、品川プリンスホテル ステラボールでのお披露目会だったんですけど、そのステージに最初に出ていったときのことは今でも鮮明に覚えていますね。緊張もしましたけど、「本当に舞台に立っているんだ」って興奮もしたし、「楽しかったな」という気持ちでいっぱいでした。

──お芝居やパフォーマンスの手応えは?

最初は間違えてしまうこともありましたけど、達成感はすごくありました。40数公演をやりきってすぐに「また舞台やりたいな」と思うほど。目の前にお客さんがいて、お客さんの熱ももらえる舞台って素敵だなって、素直に思いました。「テニミュ」(ミュージカル『テニスの王子様』)もまたやりたいと思ったし、ほかの舞台にももっと出てみたいなと思いました。

──その後、「ミュージカル『黒執事』〜寄宿学校の秘密 2024〜」、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~坂龍飛騰~、と人気シリーズに出演が決まっていきました。

テニミュに出るようになってからの数年間、青学の他のメンバーが次々と舞台が決まっていろいろと活躍しているなかで、僕はなかなか作品が決まらなくて、焦りがありました。そんな中で「黒執事」が決まったので、安心感もありましたし、「違う作品もできる!」という楽しみな気持ちもありました。決まったと電話をもらったときはすごくうれしかったです。マネージャーさんもすごく喜んでくれて。一緒に喜ぶことができたのもうれしかったですね。

──ミュージカル『刀剣乱舞』では、今年7月末に東京ドームにも立ちました。

目指しているアーティストさんも多い場所に、ミュージカル『刀剣乱舞』という人気作に出演させていただいたおかげで立たせてもらえて、本当に恵まれているなと思いました。実際に立ってみると、4万人以上のお客さんの声援が、イヤモニをしていてもドーンっと入ってきて。1曲目が始まる前にカウントダウンがあったんですけど、そのときのお客さんの声を聞いて「ついにきたな」と思いましたし、ステージに出たらものすごい景色が広がっているんだろうなって想像を膨らませながら待機して。気持ちが昂ったままステージに出て、あっという間の時間でした。
塩田一期
塩田一期 / 撮影=梁瀬玉実


■芝居に対する気持ちがアップグレードされていく

──お芝居を始めた頃と今で、お芝居の面白さは変わっていますか?

かなり変わりましたね。舞台をやるたびに芝居に対する気持ちがどんどんアップグレードされていく感じですが、最近だと一番変わったのは、ミュージカル『刀剣乱舞』で茅野(イサム)さんの演出のもとでやらせてもらったときです。それまで「2.5次元の作品なので、原作に沿わないといけない」という気持ちが強すぎて、“役になろう”ということばかり考えて舞台上で会話ができていなかった。そのことに刀ミュで気づいたんです。もちろんテニミュのときから(演出・三浦)香さんには「役の真似をしなくていい」と言われていたし、自分の中では真似をしているつもりはなかったんですけど、いろいろなことを考えているうちに最初の感覚を忘れてしまっていたんでしょうね。だから茅野さんの演出を受けて、初心に戻してもらって。そうしたら芝居の楽しさも全然違うものになりました。楽しんで舞台上に立っている姿をお客さんに見せられたのもよかったなと思います。

──そんな気づきを得た状態で、10月には舞台『忘却バッテリー』(国都英一郎役)が控えています。

これまでずっとミュージカルに出演していたのですが、今回は舞台。それこそミュージカル『刀剣乱舞』で学んだ、“会話をする”ということも含めて、芝居を存分に磨いていける場所なのかなと思うので楽しみです。しかも素敵な先輩方と一緒。この間、みんなで野球練習をしたんですけど、その時点で「この人たちについていけば、もっと磨けるだろうな」と思って。

──野球の練習をして、そこまで感じられたのはどうしてなのでしょうか?

皆さん、人柄も素敵で、困ったときになんでも聞けそうだなって思ったんです。清峰葉流火役の田中涼星さんは共演もしていて大好きな先輩ですし、要 圭役の荒牧慶彦さんはオーラがすごいなと感じていたのですが、すごく気さくに話しかけてくださって。このお二人になら何でも聞けるなと思いました。

──その中で、塩田さんは名門・帝徳高校の天才バッター・国都英一郎を演じます。現時点での意気込みを聞かせてください。

国都くんは一年生にして強豪校のスラッガーとして4番に立っている。それは実力だけでなくて、努力をしている姿を監督もチームメイトも見ているから。そんな信頼関係を、舞台上で感じさせられるようにしたいなと思っています。今回の舞台には帝徳高校のチームメイトはいないんですけど、他のキャストさんやスタッフさんからも信頼していただけるように、稽古場からちゃんとした姿を見せていきたいなと思っています。何より、大好きな野球を、この仕事で生かすことができるので、そこも楽しんでいきたいですね。

──さらに11月にはミュージカル『フラガリアメモリーズ』の新作も控えていますが、こちらで楽しみにしていることは?

5月に上演したミュージカル『フラガリアメモリーズ』〜純真の結い目〜で、ルタールステラの雰囲気や「フラガリアメモリーズ」の世界観は掴めました。今回はパッと見ただけでBLUE BOUQUET(ブルーブーケ)の公演なんだとわかってもらえるような空間を出していきたいなと思うし、さらにルタールくんのことを深掘りできるのも楽しみです。また涼星さんと一緒なので、たくさん話したいです。

■「テニミュ」4thシーズン・「新テニミュ」手塚国光役・山田健登にもらった言葉
塩田一期
塩田一期 / 撮影=梁瀬玉実


──これまでのお仕事の中で、誰かにもらった言葉で印象的だったものや大切にしている考え方は何かありますか?

「テニミュ」4thシーズン・「新テニミュ」(ミュージカル『新テニスの王子様』)で、青学(せいがく)チームの部長・手塚国光を演じた山田健登くんは、僕がこの芸能界において一番尊敬している人なんです。同い年なんですけど、考え方も同い年とは思えないくらいしっかりしているし、先頭に立ってチームを引っ張っていってくれる背中を見ていたので。そんな健登に、歌に苦手意識があったときに「自分の声を好きになったほうがいい」って言われたんです。そのときすごくハッとして。そのおかげで歌が好きになれたんですよ。ここまでこられたのは、健登にもらったあの言葉のおかげだったのかなと思います。

──お話を伺っていると、俳優仲間の名前がたくさん挙がりますが、特に仲の良い俳優のお友達や、悩んだ時に相談する俳優仲間はいますか?

松永有紘、成瀬遙城、山田健登の4人でご飯行くことが多いですね。4人のグループLINEがあって、そこで「ご飯行こうよ」ってよく計画を立てています。その4人で会うと、お芝居の話や仕事の話もするし、普通にプライベートの話もしますね。あと、悩んだときは刀ミュの先輩方に話を聞きに行くことも多いです。特に佐奈(宏紀)さん、(田村)心さん、(福澤)侑さん、(石川)凌雅さんにはお世話になりましたし、今でもお世話になっています。

──もう少しプライベートについて教えてください。お休みの日はどうやって過ごすことが多いですか?

休みの日は、映画館に1人で行って、一番後ろの席で見ます。

──一番後ろの席というのはどういったこだわりが?

落ち着くんですよね。見やすいのは真ん中だと思うですけど、壁を真横に感じる端の席が好きです。怖い映画を見るときとかは特に、両隣が空いていると怖いので。

──最近見て印象的だった映画は何かありますか?

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』ですね。サブタイトルの「南海ミッション」を見て、観に行くしかないと思ったんですけど、めちゃくちゃ感動しましたし、助け合いの精神を学んできました。

■この名前のおかげで自分の人生が豊かになっている
塩田一期
塩田一期 / 撮影=梁瀬玉実


──俳優としての今後の目標や展望を教えてください。

何でもできるオールマイティな俳優になりたいというのが第一なんですが、歌も好きになったので、もっと歌と芝居で大きなステージを目指して努力していきたいなと思っています。

──グランドミュージカルなども?

はい。グランドミュージカルも目標にしています。

──舞台がお好きだというお話がありましたが、映像作品に対しては?

正直、ドラマや映画というのはそこまで考えていないんですが、楽しいことやしゃべることが好きなので、バラエティは出てみたいです。ラジオもやってみたいですし。舞台では役としての姿を見ていただいているので、バラエティで塩田一期としての姿を見ていただいて、さらに好きになっていただけたらうれしいですね。

──保育士の専門学校に通っていたというお話がありましたが、免許も持っていらっしゃいますよね。先日行っていたソロイベント「一期の会」では折り紙をしたりもしていましたが、保育士の免許や経験が今のお仕事に生きているなと感じることはありますか?

イベントが終わった後に「折り紙でわからないことがあったけど、隣の方が教えてくださって完成できました。その後、その人たちと仲良くなりました」というメッセージを多くいただいて。まさに一期一会というか、お客さん同士が新しい関係を築くきっかけになっているかなと思って。そういう点では保育士を目指していた経験も役に立っているのかなと思いますね。

──ちなみに、お名前の「一期」の由来は「一期一会」から取られているんですか?

はい。お父さんに聞いたらそうだと言われました。

──お話をしている中でも何度も「一期一会」という言葉が出てきていて、塩田さんにとっては「一期一会」という言葉が座右の銘のようになっていらっしゃるように感じました。

なっていますね。覚えてもらいやすいし、「その名前って本名なの?」って聞かれることも多くて話すきっかけにもなるし、繋がりも増えるし。ふとしたときに「この名前のおかげで自分の人生が豊かになっているんじゃないかな」と思うんです。お父さんとお母さんには感謝です。



■撮影/梁瀬玉実
取材・文/小林千絵
スタイリング/齋藤良介
ヘアメイク/天野茜

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