栃木県上三川(かみのかわ)町で5月14日に起きた強盗殺人事件で警察当局は、犯行を計画し実行部隊に指示を出したトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)が3月と4月に東京都新宿区の酒買い取り店で起きた窃盗未遂と強盗未遂事件にも何らかの関与をしたとみている。
このうち、4月の強盗未遂事件で犯行道具を準備した疑いで逮捕された栃木県矢板市の安達慎哉容疑者(20)の「友人」と名乗る男性が、逮捕直後から安達容疑者の家族に接触し、担当刑事の名刺の写真を撮るなどした後、連絡を絶っていることが集英社オンラインの取材でわかった。警察当局は友人と名乗ったこの男性の行動や身元の確認を急いでおり、担当刑事を把握しようとした意図など慎重に調べを進めている。
「バックの会長が、優秀な弁護士を用意してくれるから心配ない」
問題の強盗未遂事件は4月7日の昼すぎ、新宿区百人町の酒店の事務所がクマ除けスプレーを持った男らに襲われた事件である。警視庁は25日までに安達容疑者を含む6人を強盗未遂容疑などで逮捕し、ほかに20歳の男の行方を追っている。
安達容疑者は事件前日までに犯行道具のスプレーやバール、包丁などを購入する役割で、襲撃時に現場にはいなかったもようだ。
同じ酒店では3月に窃盗未遂事件が起きている。その際に使用された軽自動車に酷似した車が上三川町で強盗殺人事件が起きる前に複数回目撃されていた。
「このため警視庁や栃木県警は、3つの事件が特定のトクリュウが組織した別々の実行グループが行なったか、複数のトクリュウの間で現場の状況などの情報が共有され、それぞれのグループにつながる実行部隊が行なった可能性があるとみて包括的な捜査を展開しています」(社会部記者)
こうした中、4月の事件で逮捕された安達容疑者の家族周辺の不審な動きがわかった。きっかけは25日に集英社オンラインが容疑者宅で母親を取材したことだ。
この時母親は、近所の牧場で搾乳のアルバイトをしていた安達容疑者から、ガールズバーの店舗責任者に同月末に転職すると聞かされていたと説明した。(#12)
「息子に仲のいい友達がいて、その彼が知り合いの(ガールズバー経営の)会長さんに息子を会わせると(会長さんに)人柄を褒められたらしくて、その場で採用されたそうです」(母親)
母親によると、この友達のX氏は安達容疑者の2、3歳年上の先輩だと事件前に聞かされていたという。そのX氏は、警視庁の捜査員が23日朝に自宅を訪れ安達容疑者を任意同行して逮捕し直後に自宅にやって来たという。
「逮捕されたということですぐに駆けつけてきてくれて『大丈夫ですか?』と親身になって寄り添ってくれました。逮捕された翌日の日曜日(24日)にも家に来ました。
その時にXさんは『ガールズバーを経営しているバックの会長が、優秀な弁護士を用意してくれるから心配ない』と言ってくれたんです。『慎哉くんと開く予定のガールズバーは、宇都宮駅近くのYビルに5月30日オープンで、もう内装工事も終わっているから』とも言っていました」(安達容疑者の母親)
「担当刑事の名刺の写真を撮らせてほしい」
また母親は集英社オンラインの取材に対し、安達容疑者は「やっていない」と容疑を否認していると弁護士が言っている、と話している。これもX氏から聞かされた内容だと説明した。だが、その際にX氏は「妙なこと」を言い始めたと母親は続けた。
「Xさんは『慎哉くんは逮捕される時、警察に何を話していましたか?』と探るように聞いてきて、最後には『担当刑事の名刺の写真を撮らせてほしい』と言われたんです」(同前)
実際にX氏は担当刑事2人の名刺の写真を撮って行ったというのだ。そしてこの話を安達容疑者の母親の取材で聞いていた最中に、母親の携帯電話が鳴った。X氏からだった。
その通話でX氏は、
「会長が用意した弁護士のおかげで、慎哉くんは不起訴になる。前科もつかないから大丈夫」
と話した。このとき安達容疑者の母親が、
「今、私の横に記者さんが来ているんです。Xさん、早くここに来てください」
と話すとX氏は、
「わかった、すぐ行くね」
と答えている。だがX氏はその後、安達容疑者の自宅には来なかった。
不審に思った母親は、これまで一度も直接話せていない「弁護士」の素性を尋ねようと何度もX氏に電話した。しかし、この電話に出なかったX氏は約4時間後にようやく折り返してくると安達容疑者の母親に、
「宇都宮で急用ができた。弁護士の名前は今、答えられない。また折り返す」
とだけ話し、一方的に電話を切ったという。

