プロ野球はセ・パ交流戦が始まった。初日はパ・リーグ5勝、セ・リーグ1勝。「パ強セ弱」の傾向が如実に表れる結果となったが、その「セ・リーグ1勝」を掴み取ったのは、最下位の中日ドラゴンズだった。
「先発投手がマラーだったので、イヤな予感がしたファンは多かったのでは」(名古屋在住記者)
マラーの前回登板は5月20日の阪神戦。中日打線が爆発し、6回終了時点で7-0と完全な勝ちゲームだった。ところが後続のリリーバーが試合終盤に打たれ、なんと大逆転サヨナラ負け。
5月14日のDeNA戦でも7回被安打4、無失点で後続にマウンドを託したが、マラーには勝ちがつかなかった。「好投しても報われない」の典型例であり、7点差をひっくり返された悲劇の記憶は強く残っている。
「中日ナインもマラーにいまだ勝ちがついていないことを、ずいぶん気にしていましたね」(前出・名古屋在住記者)
しかし、交流戦初戦は楽天に1-0で勝利。ようやくマラーに今季1勝目がついた。この投手戦を支えたのは、ちょっと信じられないのだが、中日の守備陣だ。前回登板時の大逆転負けは、守備の乱れから始まったもの。ところが楽天戦では、8回一死二塁の場面で三遊間に飛んだ鋭い打球を、三塁手の石川昂弥が飛びついて捕る大ファインプレーで、マラーを救ったのである。
球団創設90周年に「最下位脱出」のお寒い目標では…
この試合を指して、こんな声が聞かれた。
「ベンチ内に緊張感がありました。大逆転負けを喫した20日は試合序盤から笑い声が聞こえていましたしね。今は負けが込んでいるので重苦しい空気に包まれてはいましたが、交流戦初戦はいい意味での緊張感に溢れていました」(チーム関係者)
チーム成績は16勝30敗1分で、まだ最下位。勝率5割に戻すにしても遠い道程だが、いっそのこと「交流戦優勝」を目指してみるのはどうだろうか。
このままでは、せっかくの球団創設90周年のメモリアルが「最下位脱出」のお寒い目標だけに成り下がってしまう。故障者が多いのが敗因のひとつだが、大逆転負けを喫した20日に、マラーは自ら2ランアーチを放っており、「打者で出場させてもいいのでは」ときついジョークが出ていた。
緊張感のある試合を続けるには、こういう冗談が出ない環境にすべきだろう。セ唯一の勝ち星を挙げた中日が目指すべきはやはり、交流戦の優勝だ。
(飯山満/スポーツライター)

