Amazonプライムをはじめとする大手ストリーミング市場を眺めていると、私たちは無意識のうちに“ある名前”を目にしているかもしれない。驚異的なペースで低予算ホラー映画を量産し、世界の動画配信プラットフォームを席巻する謎の女性プロデューサー、レベッカ・J・マシューズ。その正体は長らく厚いベールに包まれていた。
本誌記者が彼女に接触し、信頼を得るまでに費やした歳月は4年。努力の結晶とも言える長期取材の末、ついに単独インタビューが実現した。世界中のプラットフォームに足跡を残し続ける異色クリエイターの人物像と、激化するインディーズ・ホラー界のリアルをここに明かす。
■制作本数70本!世界はレベッカのホラー映画で溢れている
熱狂的なインディーズ・ホラー映画ファンであれば、知らず知らずのうちに画面に流れる彼女のクレジットを網羅していた可能性は極めて高い。今、世界規模のストリーミング市場に対して圧倒的な影響力を誇り、確固たる足跡を残し続けるレベッカ・J・マシューズとは、一体どのような人物なのだろうか。
その大胆な仕掛け人であるプロデューサーの正体は、イギリスで女優として活躍するベッカ・ヒラニその人である。彼女はエッジの効いたジャンル映画を専門とする「プロポーション・プロダクションズ」と、気鋭の「EMRJエンターテイメント」という二つの製作会社で取締役を務めている。では、彼女が主戦場として第一線で闘い続けている映画ストリーミング市場の過酷な最新現況について、レベッカことベッカ・ヒラニ自身に語ってもらうことにしよう。「近年は世界中で製作され、プラットフォームへとアップロードされる映画の総数が爆発的に急増しており、市場は完全に飽和状態にあります。そのため、数多ある作品群の中から自分たちの映画を目立たせ、ユーザーに視聴してもらうためのハードルはかつてないほど高くなっており、競争は著しく激化しています」
彼女がこれまでに手掛けた作品の数はあまりにも膨大だ。クリエイターとして強い自信を持つおすすめの傑作がある一方で、限られた条件の中で満足のいく仕上がりにならなかった作品が存在することも、彼女は率直に認めている。しかしそのような場合であっても、極めて限られたリソースと予算の中でプロジェクトを最後まで遂行できたという事実そのものを誇りに思い、そこで得た貴重な失敗や教訓を次の映画製作へ活かしていくという前向きな姿勢を決して失わない。
この飽くなき探求心と揺るぎない姿勢こそが、彼女を大量生産へと突き動かす最大のモチベーションであり、プロデュースの原動力になっているのだろう。
■アミティビルにジュラシック、模倣と便乗のカルチャーが世界を覆い尽くす
大手配給会社の隙間を縫うようにしてファンを魅了するこのモックバスターのリアルな制作過程について、ベッカは次のように明かしてくれた。
「限られた低予算で製作されるジャンル映画において、特に配給会社が出資を行い、製作総指揮を兼ねているようなケースでは、私たちクリエイターの側が映画のタイトルを完全に自由に決められないことがよくあります。実際にタイトルに『アミティビル』や『スケアクロウ』といった有名なワードが含まれている映画群の多くは、私たちが脚本を書いている初期の段階では全く別の名前だった可能性が非常に高いのです。」さらに「しかし私は、配給会社が独自のマーケティング戦略に基づいて映画の認知度を高め、必要に応じて市場に最適化されたタイトルへと調整してくれているのだと、彼らのビジネスを深く信頼しています。実際の制作過程は本当にケース・バイ・ケースで、こちらから刺激的なコンセプトを配給側に提案することもあれば、先方から特定のアイデアや具体的な脚本の制作を直接依頼されることもあります」
(中編へ続く)
〇EMRJエンターテイメント公式サイト : https://www.emrj-entertainment.com/
〇EMRJエンターテイメント公式インスタグラム:https://www.instagram.com/emrjentertainment/
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インタビュー・文/沙さ綺ゆがみ
