最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
阿部慎之助の命運を分けた現行犯逮捕「ただの親子ゲンカ」を「巨人軍監督辞任」の大騒動に拡大させた「社会の目」

阿部慎之助の命運を分けた現行犯逮捕「ただの親子ゲンカ」を「巨人軍監督辞任」の大騒動に拡大させた「社会の目」

 読売巨人軍の阿部慎之助前監督が長女への暴行容疑で「現行犯逮捕」され「監督辞任」に追い込まれた事件の背景には、近年の日本社会で大きく変質しつつある「世間の目」が横たわっているように思えてならない。その点は5月26日に開かれた阿部監督の謝罪会見で読み上げられた「長女の手紙」にも滲み出ている。

 長女は暴行を受けた後、ChatGPTで児童相談所の存在を知り、相談の電話をかけたとしている。SNS上ではこれを「軽率な行為」だとする声が上がっているが、暴行や虐待を受けている子供にとって、児童相談所は最初の駆け込み寺となるセーフティーネットだ。長女への非難は全くの筋違いであることを、まずは指摘しておきたい。

 筆者が注目しているのは、ここからの事態の推移だ。児童相談所への通報について、長女は手紙の中で〈どうしたらいいかといった私の意向が聞かれることなく警察に通報されるという形になってしまいました〉と綴っている。電話でどのようなやりとりがあったのかは不明だが、ある児童相談所関係者は、次のように指摘している。

「児相が対象としているのは18歳未満の子供で、電話をかけてきた18歳の長女は運用外でした。さりとて、そのまま放置しておくことはできない。長女は手紙の中で〈私の過度な状況説明〉があったとしており、担当者は110番通報が必要な案件と判断したのでしょう。ただでさえ近年は『動かない児童相談所』に対する世間の目が厳しさを増しており、今回は社会の要請に応えた事例と言えるのではないでしょうか」

 しかし、善意の通報で歯車が狂い始める。児童相談所から通報を受けた警察は、暴行現場とされる自宅に急行。この時、現場が混乱状況にあったのか、はたまた平穏状況にあったのかは不明だが、いずれにせよ臨検を行った警察官は阿部氏の「現行犯逮捕」に踏み切ったのだ。

自宅に急行して臨検にあたった警察官の「判断と選択」

 児童相談所の案件に詳しい警察OBが、次のように指摘する。
「この手の案件では通常、任意の事情聴取が行われます。ところが長女の手紙には〈警察が来て一番驚いているのは自分自身〉〈父が警察に連行される姿をみて、私は目前で泣き崩れてしまいました〉とあり、臨検にあたっていた警察官が外形的に『緊急性あり』と判断した可能性があります。さらに言えば、阿部氏は読売巨人軍の監督の任にある有名人であり、あとで『有名人だから逮捕を躊躇したのか』という批判の声が上がることを懸念して、最も厳しい現行犯逮捕を選択したのかもしれません」

 児童相談所の110番通報にせよ、異例の現行犯逮捕にせよ、その背後に見え隠れしているのは「社会の目」である。あらゆる場面でコンプライアンスに対する社会の目が厳格化しているのは時代の要請と言えるのだが、そこには「日本の社会が急速に寛容さを失いつつある」という息苦しさがあることを忘れてはならない。

 良くも悪くも「寛容さ」に溢れていた昭和の時代なら「ただの親子ゲンカ」だったのが、「巨人軍監督辞任」という大騒動にまで発展することはなかったのではないか。

(石森巌/ジャーナリスト)

配信元: アサ芸プラス

あなたにおすすめ