サッカー日本代表が5月28日午前から練習を再開した。W杯壮行試合(5月31日・アイスランド戦・MUFG国立)限定で招集された元主将のDF吉田麻也は気合十分で、
「決して『お客さん』で来ているわけではない」
2022年W杯カタール大会以来、3年半ぶりの代表復帰は、元10番の中村俊輔コーチ入閣に続く、森保一監督が得意とする「肝煎り人事」。表向きは主力MF鎌田大地がW杯本大会の現地で合流することになり、1名空いた枠に吉田を呼んだ形だが、今回の電撃招集は吉田にとって、まさに願ったり叶ったりな事情があった。
吉田はW杯だけではなく、五輪にも3度出場。37歳になった大ベテランには「引退」の2文字が忍び寄っている。もともと自己アピールが得意な吉田は、セカンドキャリアとして日本サッカー協会(JFA)への入閣をターゲットにしている。
実はその布石はすでに打っていた。2022年6月、吉田は日本プロサッカー選手会(JPFA)の第7代会長に就任。当時、JPFAとJFAは冷戦状態が続いていた。サッカー担当記者が振り返る。
「JPFAが2011年W杯南アフリカ大会で受け取った賞金の50%を、選手に還元してほしい、代表戦出場ボーナスの最低金額を一律1人100万円にしてほしい、という要求を出しました」
そこでJFAは、本来なら表に出さない代表選手の勝利給や大会ボーナスを、あえて公表した。
「当時のJFPAの要求は、あまりに法外。とんでもない話だ、ということになった」(JFA関係者)
「予備登録メンバー」リストに入っているのは間違いない
JPFAはJFAが所有していた自社ビル(JFAハウス)に「同居」していたが、この一件が引き金となり、出ていった。
「このあと『JPFA会長になりたい』と手を挙げる選手が出てきませんでした。そんな状況下で吉田は『俺がやる!』と立候補したのです」(前出・JFA関係者)
吉田は選手会の会合で選手たちに向けて「どんどん主張ほしい」と訴え、JPFA独自の年間表彰式などの企画を立案している。W杯優勝を目標にしている森保一監督は26人を選んだが、コンディション不良の選手が出た場合、初戦(6月15日・オランダ戦)の24時間前なら、国際サッカー連盟に提出した「予備登録」(各国35人から55人)のメンバーなら、出場が可能になる。
JFAはこのリストを公表していないが、吉田が入っているのは間違いない。いつ引退しても薔薇色のセカンドキャリアが待っている吉田にとっては、笑いが止まらない1週間となっている。
(小田龍司)

