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「強豪私立だけが得をする」蝶野正洋が語る“部活格差”と遠征事故の根深い問題【蝶野正洋の黒の履歴書】

「強豪私立だけが得をする」蝶野正洋が語る“部活格差”と遠征事故の根深い問題【蝶野正洋の黒の履歴書】

新日本プロレスの移動事情

部活動の遠征試合のために高校生20人を乗せて移動中だったマイクロバスがガードレールに突っ込み、生徒1人が死亡するという痛ましい事故が起こった。

運転手付きの貸し切りバスを依頼したという学校側と、レンタカーと二種免許を持っていないドライバーを手配した運行会社の間で主張が食い違いを見せているけど、その責任の所在がどこにあるかという問題とは別に、改めて浮き彫りになったのが、部活の遠征や移動のずさんな実態だよ。

安全管理の明確なルールが定められてないから、学校や自治体によって対応がバラバラになっている。特に公立校は予算も人員も足りてないから、顧問の教員やコーチ、それに生徒の親御さんがクルマを出して運転するなど、内々で済ましているのが実態だと思う。

そうなってくると、資金力のある強豪校がますます有利になってしまう。俺は都立高校のサッカー部だったんだけど、金がないから対外試合や遠征がほとんどなかった。これが私立校だと、毎週のように交流戦や練習試合をやっていて、個々の実力もチーム力も高めることができるので、いつも不公平だと思っていた。

移動というのはコンディションに直結するから、ここに不安があると、選手のパフォーマンスにも影響が出てくる。俺がいた頃の新日本プロレスは、自社で選手移動用に大型バス2台、マイクロバス1台はあった。

それにリングや物販のグッズを積むトラックもあって、その運転や整備を担う専属のドライバーが「運送部」として10人くらい所属していた。ただ、プロレスでもインディーズ団体になると、選手やスタッフの中で大型免許を持っている人が運転して、巡業を行っていたりする。ドライバーを兼任している選手は、試合が終わった後にハンドルを握ることになるわけだから、かなり負担が大きい。

これが海外になると、基本的に団体バスというシステムはない。個々の選手が自分で移動手段を手配して、会場まで辿り着かないといけない。それで選手同士で乗り合って、片道500㌔くらいだったら平気でクルマで移動していた。

蝶野正洋の黒の履歴書】アーカイブ


悲劇を繰り返さないために必要なことは…

でも、事故も多かった。俺の修行先だったカナダで、日本でも活躍していたアドリアン・アドニス選手が交通事故で亡くなっている。何もない田舎道を走っていたら、巨大な鹿が飛び出してきて、それを避けようとして事故にあったという。

試合中のアクシデントは、団体やプロモーターがケアしてくれることはあるけど、移動中の事故は自己責任になるので、基本的に保障はない。でも、これはプロの世界の話。アマチュアの学生だったら、移動中でも保護されないといけないはずだよ。

学校ごとにルールを作ると資金力で差が出てきてしまうから、これはもう自治体や教育委員会がレギュレーションを定めるべきだよね。そして移動の際には責任者を決めて、安全管理を徹底する。

クルマの運行前点検を義務付け、ドライバーに信頼がおけなかったら別の人に交代する、場合によっては中止にすることもできるくらいの強い権限を持たせた方がいい。

このような事故が二度と起きないように、部活の日数制限など新たなルールづくりが必要だと思うよ。

「週刊実話」6月4・11日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)
1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど〝黒のカリスマ〟として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。
配信元: 週刊実話WEB

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