
「クラブは代表に招集しないよう働きかけた。だが…」怪我を抱える久保建英の日本代表選出に番記者が苦言 「ソシエダにも非がある」と主張する理由【現地発】
タケ・クボ(久保建英)の左足首の痛みは冗談ではない。レアル・ソシエダでは非常に深刻に受け止め始められている。彼自身も痛みがあり、プレーに大きく影響していると語っている。おまけに厄介なのは、対戦相手がどこを蹴ったり踏みつけたりすればさらにダメージを与え、試合から消えさせられるかを把握していることだ。
この混乱の中、タケは控えに降格している。代わりにプレーしているのが、現時点でかけ離れたレベルにあるゴンサロ・ゲデスだ。
にもかかわらずタケは2つの親善試合に臨む10月シリーズの日本代表のメンバーに招集された。当然のことながら、ソシエダは身動きが取れない状況だ。なぜなら、同じく代表戦で負傷したラミネ・ヤマルの招集に抗議し、恥骨の痛みを再発させたことを理由に取り消しを勝ち取ったバルセロナのようなメガクラブのメディアへの影響力を持っていないからだ。
では、ソシエダはどうなのか?私が所属する『ノティシアス・デ・ギプスコア』は、彼が代表に招集されないよう働きかけたことを確認したが、予想通り、その努力は実を結ばなかった。さらに言えば、5日のラージョ・バジェカーノ戦に出場した時点で、その努力は失敗に終わる運命にあった。
日本代表の考え方は単純で、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督のものとよく似ている。ここでは各自が自分の都合で行動するだけだ。利己主義が優先され、クラブも代表チームも自分たちのことしか気にかけない。いずれ誰かが倒れるだろう。サッカー選手は人間であって機械ではないし、身体能力には限界がある。
ソシエダにも非がある。タケが負傷していることを認め、映像でその様子を見せたにもかかわらず、セルヒオ・フランシスコ監督は記者会見で「心配しないで大丈夫だ」と真実を語らなかった。
負傷箇所に何度もダメージを与えられる姿を見れば、彼らがうまく対応できなかったことは明らかだ。今日のプロサッカーにおいて、それは初歩的なミスだ。
その間、ソシエダは超低空飛行を続けている。シーズンの4分の1を終えようかという時点で、いまだにチームは未完成で、未知数で、多くの課題を抱え、試合を支配し、相手を押し込むことができないでいる。
ラージョ戦でも61分にタケがピッチに立った時点で、後半開始時のチュリウルディンの勢いはすでに消えていた。アノエタにはチームが遅かれ早かれいつものように自滅して勝ち点を逃すのではないかという恐怖が漂い、最悪なことにその通りになった。
そんな中、タケは2度の痛烈なタックルを受け、ボールに絡むことも、チャンスを創出することもできなかった。ラージョのイニゴ・ペレス監督はパチャ・エスピノを投入してペップ・チャバリアと縦並びに配置することで、左サイドの守備を厚くした。彼が知らなかったのは、この交代策が完璧に成功し、日本人選手を封じただけでなく、カウンター攻撃からエスピノが決勝点を奪ったことだ。
この失点の場面では、ソシエダの帰陣の遅さが致命傷になったが、タケも背走するのを怠ったとして多くの批判を浴びた。しかし次の2つの理由で彼の責任は免除される。1つは、彼が明らかに負傷していること、もう1つは、実際に彼が受け持っていたのはチャバリアだったことだ。得点者のエスピノは1列前のサイドハーフでプレーしていた。
ソシエダが旧ホームスタジアム「アトーチャ」でプレーしていた頃、クラブの会長を務めていたルイス・ウランガは、毎試合2つのことを祈らなければならないとよく言っていた。1つ目はもちろんソシエダが勝つこと、2つ目は老朽化したスタジアムで何も問題が起こらないことだった。
タケがこのような時期に日本代表に招集される今、我々は2つのことを祈らなければならない。1つ目は無事に怪我なく帰ってくること、そして2つ目は帰国後、彼の怪我からの回復がソシエダをこの地獄のような状況から救い出すトンネルの先に差し込む光となることだ。
取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸
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