「任せる」と言ったけれど
結婚して5年。働きながら家事もしている真面目な人で、私は嫁を信頼しているつもりでした。今年のお盆の集まりは、そろそろ任せてみてもいい頃かと、自分から言い出したことです。
ところが、嫁が持ってきた段取り表を見ると、料理の品数も、招く時間も、私が長年してきたものとは少し違っていました。間違っているわけではありません。ただ、私のやり方ではない、というだけのこと。それでも私は表に赤ペンを入れながら「やっぱりこうしましょう」と口にしていたのです。
「私のほうが、ね?」
それから10日のうちに、私は3度、段取りを書き直させました。仕事帰りの嫁が、夜、義実家にやってくる。私が変更点を伝える。嫁が黙ってメモを取る。その繰り返しです。
「嫁が仕切るな、なんて言いたいわけじゃないのよ。でも、こういうのは長年やってきた私のほうが、ね?」そう何度も口にしました。嫁の段取りを、私は信頼していなかったわけではありません。ただ、自分のやってきたものを変えるのが、どこか怖かっただけ。今思えば、それを認めたくなかったのです。
