
若い力の突き上げが森保ジャパンを活性化。ロス世代コンビに注目。アイスランド戦で底力が試されるだろう【日本代表】
北中米ワールドカップの初戦オランダ戦まで2週間。日本代表は5月31日、本番前最後の国際親善試合となるアイスランド戦に挑むことになる。
過去7回のW杯を振り返ると、大会直前のテストマッチも様々だった。チームが大きく揺れ動いた結果、最後の最後でスタメンが確定した2018年ロシア大会前のパラグアイ戦、フワッとした戦いをして大舞台の惨敗につながった2006年ドイツ大会前のマルタ戦など、本番の成否の分かれ目になったケースもあった。
こうしたなか、今回の位置づけは、2022年カタール大会前のカナダ戦に近い。いずれも「選手個々の状態の確認と引き上げ」に重点が置かれているからだ。
「この試合は、ワールドカップに向けてチーム全体のコンディションを上げていくことを狙いの1つと考えています。(クラブで)出場時間が少なかった選手、怪我上がりの選手をより長い時間、起用して、チームを編成していきたいと思っています」と森保一監督も前日会見で発言。怪我明けの遠藤航(リバプール)や板倉滉(アヤックス)らを長い時間、プレーさせ、勝てるチームを作ろうとしている模様だ。
となれば、所属クラブで出場時間が少ない塩貝健人(ヴォルフスブルク)にもチャンスが巡ってきそうだ。
3月のスコットランド戦で初キャップを飾り、W杯メンバーに滑り込んだものの、今年1月に赴いた新天地ではスーパーサブ。出番が少なかった分、急ピッチでコンディションを引き上げなければならないからだ。
29日の全体練習後にも、同じ2005年生まれの後藤啓介とともに、名波浩コーチらの指導の下、居残り練習をこなしていたが、森保監督も現在の状態を把握したいはずだ。
「自分はストライカーなので、点を取ることだけ。アイスランド戦のテーマも勝つこと。自分が勝たせることだと思います」と本人は目をギラつかせていたが、投入されるとしても後半からだろう。ポジションは右シャドーが有力で、久保建英(レアル・ソシエダ)と代わる可能性が高そうだ。
塩貝には爆発的なスピードと、ここ一番の勝負強さがあるため、試合の流れを変える役割は適している。スコットランド戦でも、わずか12分の出場で伊東の決勝弾をアシスト。インパクトの強い仕事ができるのが彼の魅力だ。それをアイスランド戦でも継続できれば、森保監督も前回W杯のドイツ戦で逆転ゴールを奪った浅野拓磨(マジョルカ)のようなスーパージョーカーに指名するかもしれない。そうなれる素質は十分あるだろう。
一方、塩貝と同じロサンゼルス五輪世代で、「9番」を背負うことになった後藤も今回、後半からピッチに立つ可能性が高い選手。ポジションは1トップかシャド―のいずれかで、本人は「仮にシャドーだった場合、求められるのは攻撃のタスクだと思いますし、ゴールに向かってどういうプレーをするか、どう関わっていくかが重要だと思います」と、得点から逆算した効果的なプレーを心がけていくつもりだ。
「ただ、自分自身はまだ3回目の代表活動なので、すっといるメンバーに比べると、やるべきことをしっかり把握し切れていない。他の選手たちがやることをしっかり見ながら、ストライカーの選手とコミュニケーションを多く取っていきたい」とも言う。
連係面や戦術理解の必要性を自覚している様子だ。ここから短期間でチーム戦術を叩き込むのは大変な作業だが、新たな得点源になれるようにトライを続けていくしかない。それが20歳のFWに託されたタスクだ。
この若い2人が大化けするか否か。それは日本代表にとっても重要なポイントになりそうだ。
2010年南アフリカW杯の北朝鮮代表の鄭大世氏が、『サッカーダイジェストTV』に出演した際にも「彼らはターボエンジンになるか、バーストするか。ハイリスク・ハイリターンなんで」と指摘していたが、指揮官が抜擢した以上、絶対に爪痕を残してもらわなければならない。アイスランド戦は彼らの本大会での出場時間を大きく左右する大勝負。底力が試されるだろう。
若い力の突き上げというのは、チームを確実に活性化する。前回大会では久保がチーム最年少だった。が、クロアチア戦を体調不良で欠席するなど持てる力を十分に出し切れずに終わってしまった。
それを踏まえ、塩貝と後藤には見るものを驚かせる大仕事をしてほしい。2人がアイスランド戦でその可能性を示してくれれば、日本の攻撃の幅は一気に広がる。ガムシャラに前へ前へと突き進み、「自分たちはターボエンジンだ」ということを力強く実証してほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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