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アイスランド戦で重要だった第一関門の突破。故障者が目立った日本代表は、W杯で好転の可能性を秘めている【識者コラム】

アイスランド戦で重要だった第一関門の突破。故障者が目立った日本代表は、W杯で好転の可能性を秘めている【識者コラム】


[国際親善試合]日本 1-0 アイスランド/5月31日/国立競技場

 吉田麻也に代わって14分からピッチに立った伊藤洋輝を含めれば、アイスランド戦のスタメンの過半数を占めたのが、コンディションの不透明な選手たちだった。

 もちろん森保一監督は、メディカル等との綿密な連絡を経て代表招集をしたことを強調していたわけだが、もし彼らが実戦で故障を再発させれば緊急事態も想定されたはずなので、遠藤航が「足に違和感を訴えて」(森保監督)前半で退いた以外は5人が無事後半までプレーできたことは、重要な第一関門の突破を意味していた。

 特に冨安健洋は、怪我なく万全な選手生活を送れていたら、国立ではなくブダペストでUEFAチャンピオンズリーグ決勝を戦っていた可能性もあった逸材なので、守備局面で相手FWを追い越すスプリントを披露したのは代え難い朗報だった。指揮官が「最高の時に比べれば、まだまだ上げていける」と指摘するのは当然だが、冨安が計算できるかどうかで、本大会での安定感は雲泥の違いになる。

 結局、綱引きをし合って興行増を競うFIFAとUEFAの強引な牽引で、選手たちには計り知れない負担がかかっているので、どこのチームも同じような課題に直面している。日本は三笘薫や南野拓実を欠いたが、初戦の相手オランダもシャビ・シモンズやステファン・デ・フライと重要なピースが不在。26人の大所帯を確保しても、現代の代表監督に頭痛の種が尽きない。

 鈴木彩艶、冨安、板倉滉、遠藤、久保建英、さらに伊藤の健在を確認した森保監督は、後半に入るとさらに不測の事態への準備を進めた。いきなり4枚替えで、本来CBの瀬古歩夢をアンカーで起用し、左右のWBをアタッカーからDFへと変更。最前線もエールディビジ得点王の上田綺世を下げ、シーズン後半に出番を減らしていた小川航基に長めのプレー時間を与えた。
 
 その後もジョーカーの塩貝健人を加えた2トップや、後藤啓介を2列目で起用する驚きのオプションまで多様なテストを大急ぎで詰め込んだので、開幕までは寝る間も削る検証が待ち受けるはずだ。ただし三笘不在による伊東純也の左シャドー起用がベストチョイスとは思えず、クローズアップされたのは、どこで使うにしても鎌田大地という潤滑油が不可欠だという事実だった。

 そしてそんな実験室に招待したアイスランドも、格好のスパーリングパートナーだった。

 実は2004年EUROを前に、日本はマンチェスターでイングランドと三つ巴戦を行なった。日本はまずアイスランドと対戦したのだが、ラフプレーにより稲本潤一が左足腓骨を骨折。英国記者から「イングランド戦でも、あんなに危険な行為を?」と聞かれたアイスランド代表監督は慌てて否定していた。

 逆に大舞台を控えたイングランド戦では「弁えたプレー」を示唆したわけだが、今回来日したアイスランドは、日本に敬意を抱きフェアに挑んできた。日本を格上だと意識したうえでの勝利を希求していたようで、終盤の1失点に泣いたダーグル・ダン・ソルハルソンが、試合後にピッチを叩いて悔しがる姿が印象的だった。

 ワールドカップも4年に一度の別格の祭典として、各国が万全の準備を整えて臨める時代ではなくなった。逆にシーズン中に好調を持続した選手ほど、疲れを引きずって大会に突入する。

 2002年日韓大会が典型で、シーズンの主役だったジネディーヌ・ジダンは、大会直前の故障で失意のまま敗れ去り、逆にシーズンを故障で棒に振り休養十分だったロナウドが大会で脚光を浴びた。明暗が目まぐるしく入れ替わるサッカー界ならではのアイロニーだが、そういう意味では主力に故障者が目立った日本代表も好転の可能性は秘めている。

 とりわけ久しぶりに切れのある動きでアピールした久保などは、本大会へ向けて順調な調性を進められているのかもしれない。

取材・文●加部究(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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