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強い熱を放つ19歳のJリーガー。いつか世界で活躍する姿を期待したい【コラム】

強い熱を放つ19歳のJリーガー。いつか世界で活躍する姿を期待したい【コラム】


 選手をスカウティングする基準や方法はいくつかあるだろう。どこに着目し、何を一番に評価し、何に可能性を感じ、何を避けるべきか。その取捨選択、序列で“目利きかどうか”が分かれる。

 スカウトだけでなく、指導者も慧眼こそが何よりも求められる。選手のプレーを改善し、修正し、進化を遂げさせるのは仕事だが、まずは実力や適性やキャラクターを見極められなかったら、何をしても効果は薄い。たとえチーム全体を鼓舞するモチベーターであっても、見る目がなかったら、選手の総スカンを食う。

「彼のためなら死ねる」

 かつてジョゼ・モウリーニョ監督が信望を集めていた理由は、その慧眼にあった。どこで、いつ、どのように使うべきか。その成功体験が選手たちに浸透することで、思った以上の力を出せた。

 名将と言われる指導者は多かれ少なかれ、ここが基準と言える。

 活躍する選手は、技術、戦術、体力、メンタルのどれかが抜きん出ている。その性格まで見抜けるか。それが指導者、テクニカルダイレクター、スカウトなどスカウティングが必要な仕事では必須条件だ。

「ピッチで熱がぼっと浮き上がるように見えることがある」

 有力な選手は、ピッチ上で言語化するのが難しい熱を放っているという。チャンピオンズリーグベスト8のような高いレベルにいけば、複数の選手に見られる現象だが、たいていは一人いれば御の字だろう。ユース年代でも、下部リーグでも、熱を放つ選手は限られている。
 
 今年4月、百年構想リーグ、横浜F・マリノス対FC東京の試合は、残念ながら退屈な展開だった。

 しかし、その中で東京の佐藤龍之介は強い熱を放っていた。先制点のカウンターの起点になったのも佐藤だったが、相手ボールになったところで奪い取って、迅速な判断で前にボールを付けている。そのボールがそのまま前に持ち込めるスピードで、メッセージ性を感じさせた。そこからカウンターが決まったが、佐藤の攻守をスイッチングする熱が際立っていた。

 19歳のMFは、それ以外でも前でボールを受けようと、何度もフリーランを繰り返し、ギャップに入ってボールを受け、ギャップに入った選手にボールを付けることを繰り返していた。リズムが合わなかったとしたら、周りの緩慢さが原因だろう。

 繰り出す攻撃は異能だった。足が速くも、体が屈強でも、でかくもなく「武器がない」と言われるかもしれないが、ギャップを制する知性と熱は強力な武器だ。

 いつか、佐藤が世界で活躍する姿を期待したい。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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