テスラが補助金込みで、実質300万円台前半まで下がる。そんな話が東京で広がっている。Model 3 Premium RWDは531万3000円。国のCEV補助127万円に東京都と区の補助を重ねれば、現行制度の最大条件では314万円台まで下がることになる。
さらに2026年5月、東京都は中東情勢によるエネルギー高騰対策として補正予算案を発表し、EV補助を30万円引き上げる方向を示した。成立すれば、単純計算で284万円という数字も見えてくる。
もっとも、地方の人間にとってはあまり関係のない話だろう。国の127万円は全国共通だが、都道府県と市区町村の上乗せは住む場所で大きく変わる。東京都は積み上げ式の補助を用意し、江東区、墨田区、足立区はいずれも10万円を独自に乗せる。
一方で新宿区、世田谷区、渋谷区には車両購入への直接補助がなく、同じ東京23区でさえ条件は均一ではない。まして地方では、国の127万円だけが頼りになる場合が多いのだ。
国産の大衆EVではなく、輸入の高級電動車が都市部の補助を最も多く受け取れる。「税金でイーロン・マスクに貢ぐのか」「東京の金持ちだけが得をする」という批判が、制度に向けられている。
補助の恩恵は、住宅によっても変わる。東京都補助の上限80万円は、太陽光発電とV2H充放電設備を自宅に導入した戸建てが前提だ。マンション住まいなら再エネ100%電力メニューを契約しても55万円止まりで、太陽光と再エネ電力は択一のため、両方は取れない。すでに資産と住環境に恵まれた人ほど、最大限の補助を受けることになる。
テスラはここに手を打っていた。対象期間内に購入・納車した車両にスーパーチャージャー3年間無料キャンペーン(7月31日までに納車完了、YLは6月末まで)を設けており、自宅充電が難しいマンション住まいでも、急速充電を実質無料で使える。
都心部にスーパーチャージャーが集中していることを考えれば、この施策が都市部ユーザーの囲い込みを意図したものであることは明らかだ。地方では充電スポット自体が少なく、無料キャンペーンの恩恵は届きにくい。
2026年中の「完全自動運転」実装を目指して公道テスト開始
補助がなければ、Model 3 Premium RWD(531万3000円)もModel Y RWD(558万7000円)も500万円台の車だ。3列シートのModel YLは749万円で、最大補助を引いても532万円前後。「アルファードより安い」という声は都市部の補助込みの話であって、地方の人間にはまだ手が届きにくい。
最近、都心の交差点でテスラを見かける機会が増えている。将来材料として見逃せないのがFSD(完全自動運転技術)だ。Tesla Japanは2026年中のFSD Supervised国内実装を目指すと表明しており、東京都内ではすでに公道テストが始まっている。
ドライバーが常時監視するレベル2相当の運転支援だが、渋滞の多い都市部では効果を発揮する機能として注目されている。補助金で車両価格を下げられる今のうちに購入し、将来のFSD本格導入まで見込むユーザーが出てくるのは自然なことだろう。
手厚い補助金で安く買えるだけではない。iPhoneがアップデートで使い勝手を向上させてきたように、テスラも購入後の進化を期待させる車になっている。そこに魅力を感じる人にとって、これは単なるEVの値引き話では終わらない。
(ケン高田)

