政治とカネの問題で自民党を離党していた世耕弘成元経産相が自民党・鈴木俊一幹事長に対し、5月末に復党願を提出していた。党本部は世耕氏の復党を認める方向だが、それを後押しするのが高市早苗首相(自民党総裁)だ。
高市首相は世耕氏と同じ奈良市内の小学校に通っていたことがあるだけでなく、世耕氏が理事長を務める近畿大学に恩義があるからだ。
高市首相は2004年4月に近畿大学経済学部の教授に就任した。前年11月の衆院選で落選し、浪人中だった高市氏に救いの手を差し伸べたのが近畿大学だった。高市氏は翌年9月のいわゆる「郵政解散」で、自民党公認として立候補し、国政に復帰したが、この時の恩義は忘れていない。
これまで世耕氏は、二階俊博元幹事長や和歌山県連との対立が激しかったため、復党させることはできなかった。和歌山県連内にはしこりが残っているが、そうも言っていられないのは、8月に和歌山市長選挙を控えているからだ。
5月には市長選の説明会が行われたが、保守系の候補らが参加した。このままでは保守分裂選挙になることが予想され、世耕氏の動向がカギを握っている。
加古川刑務所を出所「このままでは終われない」
この説明会には「意外な人物」が現れた。元和歌山市長の旅田卓宗氏だ。1986年の市長選に41歳で初当選し、4期務めた一方で、スキャンダルは絶えず。2002年の出直し市長選で落選。2003年には土地取引をめぐる汚職事件に絡んで収賄容疑で逮捕されたものの、拘置中に市議選に出馬し、トップ当選したが、実刑判決が確定した。
加古川刑務所(兵庫県加古川市)を出所し、2023年には公民権が回復。すでに81歳になるが、このままでは終われないと、出馬を決意したという。
昭和から平成にかけて、和歌山を様々な意味で揺るがした元名物市長と、二階氏の天下から和歌山の勢力図を塗り替えた実力者。旅田氏の全盛期、世耕氏はまだ中堅だったが、今度の和歌山市長選では直接ではないものの、相まみえることになるかもしれない。
(岡田哲司/政治ジャーナリスト)

