仕事に追われ、食事をおろそかにする生活を続けた結果、体を壊してしまう人は少なくない。だから身につけるべきなのが「料理」というスキルだ。豪華な料理でなくていい。ご飯を炊き、汁物を作り、簡単なおかずを一品添えるだけで、人生は変わる。
韓国15万部突破したベストセラー『どん底から最高の人生に変わる「古典」の知恵』より一部抜粋、再編集してお届けする。〈全3回のうち2回目〉
「食事をまともにしていない」は悪
久しぶりに後輩から電話がかかってきた。
「ちょっと料理を教えてくれないかしら?」
「なんでまた突然?」
「仕事でまともに食事もできずに撮影してたら、体がぼろぼろになっちゃった。考えてみたんだけどね、こんなこと続けて大病でも患ったら、稼ぐどころか、むしろ赤字よね」
私が得意としていることの中で最も有用だと考えられるのが「料理」だ。このスキルには我ながら本当に感謝している。
稼げることは言うまでもないが、後輩の言うとおり、料理ができなかったら、稼ぐより病院代がかさむのは目に見えている。最近、いきなり連絡してきた後輩以外にも、あちこちで体の不調を訴える人がいる。「食事をまともにしていない」ことが原因だ。
人間は毎日2〜3食を摂る。50年毎日しっかり食べた人と、適当に済ませた人の体に違いが出ないわけがない。料理ができなければ、病気になる確率はかなり高い。これは当然の結果の表れだ。
欲知島で文章を書きながら過ごしている間にも、私は、島で元気に育ったナズナを摘んできて、テンジャンチゲ(韓国の味噌を使った汁物料理)を作って食べる。健康的な食事を摂って文章を書くときと、インスタントラーメンを食べて文章を書くときとでは全く違う結果が出ることを数年間の経験から悟った。
豪華で高級な料理を食べろというのではない。簡単で質素な食事でも、自分の意思と真心がこもった料理を食べるべきなのだ。家庭料理を食べれば不思議と健康になる理由は、料理をした人の愛が込められているからだ。
最近、あなたが食べている食事を思い出してほしい。どうだろうか? 大量生産のためにまるで機械がコピーするかのように作った食べ物には真心と愛が込められようがない。絶対に食べるな、とは言わない。状況が許さず、仕方なくそういう食事を摂る日もあるだろう。大切なのはバランスだ。最低でも一日一食はまともな家庭料理を食べるようにしよう。
誰かに頼ることなく、自分で料理をして食べるのはどうだろうか。難しくはない。基本的ないくつかの点だけを学び、いったん始めてみよう。本来ならひとつ屋根の下で家族全員が料理できるのが理想だ。
料理は人生でいちばん有用な習慣だ。1年コツコツとやれば習慣になる。調理時間も短くなる。たった1回作ってみただけで「時間がこんなにかかるのに、どうして毎回作って食べるの?」と投げ出さないでほしい。料理は人生を最も豊かにしてくれるスキルだ。お願いだから、1年だけやってみてほしい。
とりあえず米を炊いてみよう
人間は歳を重ねるほどに幸せになるべきだと思っている。考えてみよう。今が幸せなら過去の素晴らしく幸せだった時期は全く思い浮かばない。2日前のことすらおぼつかないはずだ。私たちは幸せになるために貯金する。お金だけ貯めるのではなく、健康も一緒に重視してほしい。これこそが真の富者だ。せっかく貯めたお金が病院代に消えたりするのはあまりに惜しいではないか。
まずはご飯から始めよう。一度も米を炊いたことがないならむしろ好都合だ。せっかくだから、初めてご飯を炊く瞬間を録画しよう。米を洗い、手の甲を利用して水を切ってもいいし、計量カップを使ってもいい。とりあえず米を炊いてみよう。
柔らかめでも硬めでもいい。どうしてそうなったか、その理由を考えて成功するまで何度もトライすれば、自分だけの水加減で炊いたご飯ができる。米をまともに炊けるだけでも、健康に一歩近づく。このスキルは1週間もあれば十分に体得できる。
次に2〜3種類の汁物に挑戦しよう。醤油、塩、塩辛で味を整えるだけで完成だ。複雑な方法ではなく単純な料理法を見つけて学ぼう。
最後に2〜3のナムルの和え方を身につけよう。味噌、コチュジャン、胡麻油(あるいはエゴマ油)、これを入れるだけでナムルを和えることができる。もうこれでよし。ご飯と汁物にナムルひとつ。これで十分だ。人生に最重要かつ有益なスキルが身につけられる。
執筆に夢中になっていると欲知島に雨が降り始めた。ひと休みしよう。
大根を切って鍋に入れ、マグロの魚醤とうす口醤油で下味をつけてからぐつぐつ煮る。練り物と青唐辛子をひとつ入れ、練り物がぷかぷか浮いてくるまで煮る。味を見て、少し薄味なら粗塩で味を整える。火を消して胡椒を軽く振りかけて仕上げ。これで「おでん」のでき上がりだ。
おでんのスープをカップに一杯入れて窓辺へ行き、雨の海を見ながらすする。精神が冴えて気分は爽快だ。文章を書きたくなる。意欲も溢れる。
おでんのスープを煮るのに15分。料理ができなければ、車を走らせ店まで行き、注文して食べて帰るまで、あっという間に1時間が過ぎるだろう。時間はもちろん気になるところだが、海を見ながらスマートに私が望む味の料理を食べること自体が、店では不可能である。
みなさんもぜひ実行してほしい。まずはインスタント食品を食べ、文章を書いて、本を読んでみよう。その次に、自分で作ったご飯を食べ、書いて、読んでみれば、完全に違う感覚を抱けるはずだ。
#3に続く
文/コ・ミョンファン 写真/Shutterstock

