東京・浅草の浅草寺にある“石の形をした男性用トイレ”が話題になっている。用を足すにはかなりの勇気がいる形なのだが、なぜこのようなものが設置されているのだろうか。
「一周回ってこのトイレで小便したすぎるw」
一見すると、石を削って作られたオブジェのようにも見えるが、実は男性用の小便器。しかし、周囲には大きな囲いがあるわけでもなく、すぐそばには喫煙所もあるという“超丸見え”仕様だ。
ネット上ではこのトイレが話題になると、
「合法的な立ちションだろもうコレw」
「警察も捕まえられない最強のゾーン」
「正しく使ってもめっちゃ飛び散りそう」
「一周回ってこのトイレで小便したすぎるw」
など、驚きと困惑の声が相次いでいる。
単なる珍スポットとしてだけでなく、なぜ浅草の観光地のど真ん中に、このようなトイレが設置されているのかにも注目が集まっている。
そこで、実際に現地へ向かった。
訪れたのは平日の14時ごろ。浅草寺周辺は、平日にもかかわらず観光客でごった返していた。
話題のトイレは、浅草寺近くにある屋内型の公衆トイレの裏手にある。屋内トイレの利用時間は「6時から22時まで」。その裏側へ回ると、喫煙所のすぐ近くに、石の形をした小便器がひっそりと設置されていた。
ただ、ひっそりとした場所にあるとはいえ、人目につかないわけではない。喫煙所へ向かう人が次から次へと前を通っていく。しばらく観察していても、この場所で用を足せるような空気ではなかった。
また、喫煙所に向かう人たちが、この石のような設備を見て「これは何だろう?」という表情を浮かべる場面も何度かあった。神聖な石のオブジェや水飲み場のように見えているのだろうか。
そしてもちろんだが、1時間ほど観察していても、このトイレを使う人はいなかった。
海外から来た観光客にはどう見えるのだろうか。現地にいた外国人観光客に話を聞いた。
ルーマニアから来た39歳の男性は、「これは何だと思いますか?」という問いに対し、少し戸惑った様子で「make up?(なにかの作り物?)」と回答した。少なくとも、初見でトイレだとは思わなかったようだ。
男性用トイレだと伝え、「あなたの国にもこのようなトイレはありますか?」と聞くと、「ないです。トイレはもっと囲われた場所にあるよ」と答えた。そして最後に、「このトイレを使えますか?」と尋ねると、「I don't know(わからない)」と苦笑いしていた。
「ノーノーノーノー!」観光客も驚き
韓国から来た28歳の男性も、この設備がトイレだとは知らなかったという。最初に見た印象を聞くと、「石だと思いました。ただの石です」ときっぱり回答。
韓国にはこうしたトイレは「ないです」とし、屋外で用を足すことについても「する人はいるけど、それはとてもよくないことだとされています」と話した。「このトイレを使えと言われたら使えますか」と尋ねると、「使えません(笑)」と即答していた。
香港から来た29歳の男性は、この設備を見て「面白いと思います。公共の場所にある公衆トイレと考えると、ちょっと面白いですね」と笑顔で話した。一方で、香港にもこうしたトイレがあるか尋ねると、「ないです」と即答。「使うことはできますか?」という質問にも、「ノーノーノーノー!」と笑いながら首を振った。
外国人観光客にとっても、この石の形をした男性用トイレは、かなり不思議な存在に映るようだ。
一方、現地で人力車を押している男性は、このトイレの存在をよく知っていた。
「トイレだとは知っていました。人力車でもお客さんに紹介することがあります。夜に一度だけ使ったことがありますね。度胸試し的な感覚で。さすがに昼間にやる勇気はないです(笑)」
地元で働く人にとっても、やはり日中に使うにはかなりハードルの高いトイレのようだ。
では、そもそもこのトイレは何のために設置されたものなのか。浅草寺の担当者に話を聞いた。
担当者によると、この石の形をした男性用トイレは、浅草寺が管理する設備で、設置されたのは2007年ごろ。近くの通常トイレを作った際に、あわせて施工会社が作ったものだという。
通常のトイレが22時で閉まるため、それ以降に利用する「夜間用トイレ」として設置されたそうだ。つまり、このトイレは日中の観光客向けというより、夜間以降の利用を想定した設備だったのだ。

