アウトプットの量が他人の評価を押し上げる
私の講座を受けたCさん(30代・企画職)は、勉強熱心な方でした。もともとインプット中心の学び方をしていて、どれだけ本を読んでも、講座を受けても、その内容を誰かに話すことがほとんどありませんでした。
そのため、職場では「控えめな人」という印象が強く、学びの努力がまったく見えていませんでした。しかしCさんは、ある日「毎日1つだけ、今日学んだことをチームメンバーのSlackに書く」と決め、「小さなアウトプット習慣」を始めました。
するとたったの1か月で、上司から「最近、情報の幅が広がったね」「企画の視点が鋭くなったね」と声をかけられるようになり、3か月後には新しいプロジェクトのメンバーに選ばれました。学んだ量は以前と変わりません。ただ、アウトプットした量が格段に多くなっただけなのです。
周りの反応、評価の変わりように、Cさん自身「人って、インプットじゃなくてアウトプットを見て判断しているんですね……」と驚いていました。まさにその通りです。
どれだけ努力しても、それが外に出なければ存在しないのと同じです。しかし、どれだけ小さくても、一度外に出れば存在として認識されます。これが「10割アウトプットの魔法」であり、たくさん学んでいる人に見える理由なのです。
「空気を読む」より「知識を共有」
特に現在の40~50代以上の日本人には、学校教育や社会風土の影響からか、「目立つこと」や「自分の知識・考えをアウトプットすること」に強い抵抗感を持つ人が少なくありません。
たとえば、授業中に手を挙げると「出しゃばっている」と冷やかされたり、ちょっと難しい問題に答えられるとなぜか浮いた存在になってしまったり。
ときどきクラスで話し合いがあっても、皆が空気を読んで、多数決で結論が決まる。個性を出したり、自分の考えを深掘りしたりする機会はほとんどなかった……。
その結果、「自分の意見を言うのが怖い」「知識を共有するなんておこがましい」「間違えるくらいなら黙っていたほうがいい」といった「沈黙の文化」が染みついてしまった人が少なくありません。
実際、企業研修やセミナーでも、若い世代よりも中高年世代のほうがおとなしく、発言を控えがちです。
今の大学生は、高校生のうちから積極的に発言を求められたり、グループワークでディスカッションしたりする場面が多いようで、皆の前で自分の意見を話すことに慣れている印象があります。講師として多くの現場を見ていると、これは明らかに世代間の特徴として現れています。

