その昔、フジテレビの深夜帯には面白い番組がたくさんあった。思いつくだけでも「やっぱり猫が好き」「夢で逢えたら」「IQエンジン」「奇妙な出来事」「カノッサの屈辱」「カルトQ」「NIGHT HEAD」「とぶくすり」などなど。
ドラマにクイズにバラエティーにと実に多彩かつ、深夜帯ならではの、ニッチだったり実験的だったりする番組が多く、のちに放送時間をゴールデンタイムに移動したものまであった。
しかしそういった移動番組はたいてい、深夜だからこその空気感が大幅に減少した結果、魅力を失って長続きせず。そのたびに「だから夜中にこっそりやってりゃよかったのに」と苦々しく思ったものである。
その一連のフジテレビの深夜番組の時間帯は「JOCX-TV2」「JOCX-TV PLUS」「GARDEN TV+」「JUNGLE MIDNIGHT TV+」「JOCX MIDNIGHT」と総称を変えながら、1987年の10月から1996年3月まで続いた。「昔のテレビは面白かった」なんて紋切り型のノスタルジーに浸る気はないけど、それでもあの頃のフジテレビの深夜はそりゃあ、面白かったのだ。
ところがここ最近は、現在放送中のドラマの再放送ばっかり。それどころか「フジドラシアター」と称して、過去作まで再放送するありさまだ。
しかもこの「フジドラシアター」のタチが悪いのは、第3話までしか放送しないこと。一応は「第4話以降はTVerで配信 FODでは全話配信中」とテロップでお知らせしてくれるけど、配信に誘いたいだけの下心がどうにも癪に触って、結局は続きを視聴する気にまではならず。「確か、最後はこんなストーリーだったよな」と自らの記憶で補填して終了するのだった。
ところが、そんな私が思わず「お!」と声を出してしまった。6月3日深夜のことだ。どうせまたドラマの再放送をやっているんだろうと思いながらも、フジテレビにチャンネルを合わせたら、なんと「クイズ!脳ベルSHOW」をやっていたのだ。
真っ昼間から「ボケ予防の脳トレ」は超高齢化社会にぴったり
2015年10月にBSフジでスタートしたこの番組は、2018年4月から2022年4月まで、フジテレビでも月曜から金曜の午前4時から放送されていた。深夜どころか、もはや早朝の時間帯だが、私はこの番組が大好きでよく見ていた。現在はBSフジで月曜19時から放送してはいるけれど、地上波での放送終了は非常に残念だった。
MCを岡田圭右(ますだおかだ)、アシスタントを川野良子アナが担当し、「年齢とともに衰えていく脳に警鐘を鳴らす脳活性化クイズバラエティー」が謳い文句。毎回、他のクイズ番組ではまずお目にかかれないような、一般的知名度がやや低めで年齢は高めな有名人が解答者として出演。「ああ、こんな人もいたねぇ」と言いながら見るのもまた一興だった。
6月3日の放送は、10周年を記念した公開収録回。解答者は岡田の相方の増田英彦をはじめ、氏神一番(カブキロックス)、堀田眞三(俳優)、和泉節子(和泉元彌の母親)と相変わらず渋くてサイコー。
だが、実はこれもまた、昨年10月6日にBSフジで放送されたものの再放送だったのだ。
しかし、不思議と不満は抱かなかった。むしろフジテレビは深夜帯にBSやCSのコンテンツを放送するようにして、ドラマの再放送は以前のように「ぽかぽか」の後にやった方がいいのではなかろうか。「旬感LIVE とれたてっ!」の視聴率も伸びる気配が全くないし。
いやいや、それよりも「ぽかぽか」を終了させて「クイズ!脳ベルSHOW」を月~金の帯でやるべし。真っ昼間からボケ予防の脳トレ。これぞ超高齢化社会の日本にぴったりだと思うのだが。
(堀江南/テレビソムリエ)

