
■「トランスフォーマー」は玩具原作映画史上最大のヒットシリーズに

“玩具原作もの”の代表格といえば満場一致で「トランスフォーマー」シリーズだろう。タカラトミーとハズブロによって展開されるこの変形ロボット玩具は、1985年から現在まで作られ続けているアニメシリーズをはじめ、数えきれないほどの作品が世に送りだされてきた。

なかでもCG技術の発展によって可能となったのが、マイケル・ベイ監督が手掛ける実写版シリーズ。オートボットとディセプティコンの戦いを描くこのシリーズは、1作目の『トランスフォーマー』(07)からスピンオフ『バンブルビー』(18)を含め、現在まで7作が製作され、興収10億ドル超を連発するメガヒットを記録。シリーズ累計興行収入は52億ドル超にも及んでおり、おもちゃ発映画として最大の成功を収めている。
■「トランスフォーマー」との共演も楽しみな兵士人形「G.I.ジョー」

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(23)のエンディングで匂わされたように、次回作でクロスオーバーを果たすのが、同じくハズブロ社の「G.I.ジョー」だ。バービーにヒントを得て作られた兵士姿のアクションフィギュアは、80年代にアニメ化。その後、2009年にスティーヴン・ソマーズ監督による実写版『G.I.ジョー』が作られ、『G.I.ジョー バック2リベンジ』(13)、スネークアイズの前日譚を描いた『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(21)とシリーズ化した。
物語は、世界各国で構成された国際混成部隊「G.I.ジョー」が世界征服をたくらむ悪の組織コブラに立ち向かうというもので、1作目のチャニング・テイタムをはじめ、ドウェイン・ジョンソン、ブルース・ウィリス、デニス・クエイドといったビッグネームが隊員として名を連ねた。
■近年のおもちゃ映画化ブームの流れを作った「バービー」
『マーウェン』(18)ではG.Iジョー人形と5人のバービー人形がナチス親衛隊と戦うという世界が繰り広げられたように、女児向けの人形の代表格として愛され続けてきたのが、マテル社の「バービー」。1959年にデビューを果たすと、世界の名だたるファッションブランドやポップカルチャーとのコラボをはじめ、オードリー・ヘプバーンら数々の名女優たちのアイテムが作られるなど、コレクションアイテムとして大人をも魅了してきた。

「スター・ウォーズ」シリーズなど数々の映画とのコラボや「トイ・ストーリー」シリーズへの登場など、映画との親和性の高いバービーを、満を持してグレタ・ガーウィグ監督が実写化したのが2023年の『バービー』。本作は、完璧な女性像への疑問やマッチョイズムへの風刺を鮮やかに描きだし、世界興収は13億8000万ドルを超える記録的なヒットに。かつての子ども向けな玩具映画でなく、深いメッセージが込められた本作の大成功は、続々とIP(知的財産)の映画化企画が動きだすきっかけとなる、エポックメイキングなトピックとなった。
■映画になったフィギュア、人形はまだまだあるぞ!

このほかにも、フィギュアや人形を原作とする映画は数えきれず、1960年代に大流行したトーマス・ダムの「トロール人形」を原作とするアニメ映画『トロールズ』(16)は、『トロールズ ミュージック★パワー』(20)、『トロールズ バンド・トゥゲザー』(23)とシリーズ化。

ハズブロ社の「マイリトルポニー」も、テレビアニメを経て初の映画『マイリトルポニー: エクエストリア・ガールズ』(13)を皮切りにシリーズ化すると、2017年には本格的な劇場版となる『マイリトルポニー プリンセスの大冒険』も公開された。
その一方で知られざる珍作も多く、ヤスミン、クロエ、サシャ、ジェイドの4人の少女をメインとしたアメリカMGA社によるファッションドール「ブラッツ(BRATZ)」からは、4人の女子高生の友情を実写で描いた『Bratz(原題)』(07)が作られるも思わしくない結果に。

また、スパイやスーパーヒーローをテーマにした1999年初登場のアクションフィギュア「マックス・スティール」(マテル社)は、アニメ作品を経て、2016年に『マックス・スティール』として実写化。謎めいたエイリアン、スティールと一体化することでヒーローとなる少年マックスの活躍を描いたが、ネガティブな評価を集めた。

■「レゴ」は映画でも無限の可能性を表現

映画化されたおもちゃのなかでも忘れてはいけないのが「レゴ」の存在だ。1953年にデンマークで生まれたレゴは、様々な形のブロックを組み合わせることによって、なんでも作ることができる、“無限の可能性”を秘めた知育玩具。「インディ・ジョーンズ」や「スター・ウォーズ」といった映画とのコラボシリーズも人気を博してきた。
そんな世界的ブロック玩具をフィル・ロード&クリス・ミラーの監督コンビがアニメ化したのが『LEGO(R) ムービー』(14)。本作は、ブロックで構築されたレゴシティを舞台に、世界を救うハメになった主人公エメット(声:クリス・プラット)の冒険を、メタ的な視線を交えながら描いている。一見、ストップモーションで「レゴ」を動かしているように見える映像は、CGアニメーションで作られているが、実際に「レゴ」にあるパーツしか登場せず、こだわりや魅力が詰まった1作となっている。

評価的にも興行的にも成功すると、その後も続編『レゴ(R)ムービー2』(19)や『レゴバットマン ザ・ムービー』(17)、『レゴ(R)ニンジャゴー ザ・ムービー』(17)など多くの作品をリリース。2024年にはジェイク・カスダン、パティ・ジェンキンス、ジョー・コーニッシュを起用し、さらに3本の映画を作ることが発表されたが、その後の音沙汰はなく、現在どういう状況なのかも気になるところだ。
■ドイツ製ブロック玩具「プレイモービル」にも映画が!
その「レゴ」のライバル的存在といえるブロック玩具が、1974年にドイツで誕生したゲオブラ・ブランドシュテッター社の「プレイモービル」。7.5cmほどのフィギュアと多様なテーマのプレイセットとの組み合わせによって想像力豊かに遊ぶことができ、ドイツ国内にはテーマパークもあるほどの人気を誇る。

2019年の映画『プレイモービル マーラとチャーリーの大冒険』は、両親を亡くした姉弟がプレイモービルの展示場へと足を運んだことから、その世界に迷い込んでしまい…という内容を実写とアニメを交えて描いた。アニャ・テイラー=ジョイが出演したが、残念ながら興行は振るわなかった。
■古くから愛される「バトルシップ」は宇宙規模の物語に
ボードゲームを基にした作品も数知れず。意外と知らない人も多いかもしれないが『バトルシップ』(12)もその一つ。2人のプレイヤーが艦隊をマス目の上に配置し、交互に座標を指定して相手艦の位置を推測する紙と鉛筆でできる「海戦ゲーム」を基にしたハズブロの同名玩具を映画化している。
ピーター・バーグ監督による映画は、環太平洋合同軍事演習の際に沖合に現れたエイリアンの艦隊に世界中の海軍が力を合わせて立ち向かう、いい意味でばかばかしいストーリーが展開する。テイラー・キッチュ、アレクサンダー・スカルスガルド、リーアム・ニーソン、リアーナといったスターが集結し、日本からは浅野忠信が存在感を放った。
■ナードの嗜みとして多くの作品で登場してきた「ダンジョンズ&ドラゴンズ」

『E.T.』(82)や「フリークス学園」、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」といった作品で登場するなど、映画ファンおなじみの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」。1974年に生まれた通称“D&D”は、1人のダンジョンマスターのナビゲートのもと、そのほかのプレイヤーが想像力とサイコロで冒険し、一つの物語を作り上げていくテーブルトークRPGというジャンルのゲームだ。
ゲームのベースとなる剣と魔法の世界は、これまで『ダンジョン&ドラゴン』(01)、『ダンジョン&ドラゴン2』(05)、『ダンジョン&ドラゴン3 太陽の騎士団と暗黒の書』(12)と繰り返し実写化されてきたが、どれもパッとせず…。

しかし、その流れを変えたのがクリス・パイン主演の『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(23)だ。吟遊詩人の主人公が戦士、魔法使いといった個性豊かな仲間と共に、世界を脅かす巨悪に立ち向かうこのファンタジーでは「よみがえりの石版」「魔法破りの兜」など、様々なアイテムを散りばめながらゲームの世界をコミカルに表現し、評判と興行の両面で成功を収めた。
■「クルード(Cluedo)」の映画版は結末がランダムだった!?
プレイヤーが名探偵となり、館で起こった殺人事件の犯人、凶器、場所を推理していく「クルード(Cluedo)」。1940年代にイギリスで生まれ、現在はハズブロ社で発売されているこのボードゲームは、日本ではあまり知名度が高くないが、『殺人ゲームへの招待』として1985年に映画化されている。

内容はニューイングランドの豪邸で開かれたパーティーで次々と起こる殺人事件を、招かれたゲストたちが推理していくというミステリーコメディ。全員が容疑者役であり、探偵役でもあるゲームを再現するトリッキーな物語はもちろん、結末は異なる3パターンのエンディングが用意され、各劇場でランダムに上映されるという試みも当時話題を集めた。
なお「クルード」はソニーによって再映画化&テレビドラマ化の話も持ち上がっているそう。さらにハズブロは「モノポリー」の実写化企画にも着手するなど、次々とボードゲームの実写映画化を進めている。
■ヒーマンでおなじみの「マスターズ・オブ・ユニバース」

そして今回『マスターズ・オブ・ユニバース』として実写化された「マスターズ・オブ・ユニバース」は、日本ではタカラ社(現タカラトミー)から「魔界伝説ヒーマンの闘い」という名前で発売されたこともあるアクションフィギュア。例の如く、80年代にアニメ化を経て、1987年にはドルフ・ラングレン主演の実写映画『マスターズ 超空の覇者』も製作された。
おもちゃは剣と魔法、テクノロジーが融合した惑星エターニアを舞台に、筋骨隆々とした金髪姿のヒーロー、ヒーマンがスケルター率いる悪の集団と戦うというコンセプトで、トラヴィス・ナイト監督が手掛ける今回の映画もヒーマンの活躍を描く英雄譚。

惑星エターニアの王子として生まれたアダム(ニコラス・ガリツィン)は幼い頃、戦争から身を守るべく“誰にも知られない場所”地球へ送り込まれる。15年後、成長したアダムは伝説の剣“パワーソード”を見つけだし、導かれるように帰郷。ヒーマンとして惑星を滅ぼしたスケルターに戦いを挑んでいく。

日米同時公開に先駆け、海外のレビューも届いており、おもちゃやアニメへの愛情あふれる世界観やニコラス・ガリツィンが鍛え上げた肉体で演じるヒーマン像、迫力のあるアクションや散りばめられたユーモアなど高評価の嵐。アダムが英雄ヒーマンへと成長していく物語が魅力的に描かれているようだ。
マテル社では、誰もがプレイしたことのあるカードゲーム「UNO」やミニカー「ホットウィール」、立体写真玩具「ビューマスター」やファッションドール「モンスター・ハイ」など続々と企画が進行中。

球体の内部に液体と多面体ダイスが入っており、問いかけると回答が浮かび上がる「マジック8ボール」をM.ナイト・シャマラン監督が実写ドラマ化するなど、楽しみな企画ばかりなので、続報を待ちたい。
文/武藤龍太郎
