●こぼれ話
山形駅から車で15分ほどの山形県立産業技術短期大学校。最先端の機器を備えた実験研究棟や実習棟を備えた広大な敷地で、技術者を育てる。恵まれた環境の中で、学生がのびのびと学び、技術を習得している様子がうかがえる。今回は、この産技短に佐藤俊一先生を訪ねた。山形のAI教育のみならず、県内の教育に多大な貢献を果たしてこられたキーマンと言っていいだろう。
山形にAI部?。初めてやまがたAI部の存在を知ったとき、どんな背景があるのだろうと不思議に思った。こうした新しい取り組みには、常に志ある人物の存在がある。やまがたAI部の成り立ちをひも解いていくと、やはり佐藤先生の志に突き動かされた人が大勢いたようだ。
佐藤先生のご専門は英語。ただ、自分の専門領域に閉じることなく、学生ファーストで思考し続けてきていることがよく分かる。必要であれば、学校教育に限定することなく、必要なものを集めて学生を支援する。学生の学びに制限はかけない。範囲を限定せず本質的に必要なことにこだわって、やりきるのが佐藤先生の働き方だと分かった。分からないことは分かる人に教えてもらう。そうした精神で、たくさんの人の知恵と知識を集結させてきた。そのひたむきさや謙虚さは、佐藤先生の周りに多くの人を集める大きな要因になっているように思う。
「障害と感じるものはありませんでした」。AI部の発足に際して一番の障害は何であったかを尋ねると、あっさりとこんな言葉が返ってきた。障害ではなく、実現に向けて解決すべき課題があるだけで、それをみんなの力で一つ一つクリアしていく。その過程がむしろ面白かったと、おっしゃられた。佐藤先生自身がワクワクしながら取り組むのだから学生も楽しいし、かかわる人も希望を持てる。AI部の立ち上げ時も活動自体も、たくさんの「はてな」を探求しながら解を集めていく過程そのものに面白さがあるのだろう。
佐藤先生は、これからもご自身の興味・関心の幅を広げられ、尽きることのない探求心で学生たちの学びたい意欲に応えていくことだろう。俊ちゃん先生はいつまでも忙しい。(奥田芳恵)
心に響く人生の匠たち
「千人回峰」というタイトルは、比叡山の峰々を千日かけて駆け巡り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借したものです。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れたいと願い、この連載を続けています。
「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
奥田喜久男(週刊BCN 創刊編集長)
<1000分の第394回(下)>
※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。

