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桜田ひより×木戸大聖、初共演のラブストーリー『モブ子の恋』風間太樹監督との再タッグ作で深めた信頼 「お互いの存在に助けられた」

桜田ひより×木戸大聖、初共演のラブストーリー『モブ子の恋』風間太樹監督との再タッグ作で深めた信頼 「お互いの存在に助けられた」

田村茜による同名漫画を実写映画化した『モブ子の恋』(公開中)で、ダブル主演として初共演を果たした桜田ひよりと木戸大聖。脇役同士のラブストーリーを描く本作では、思いやりを持ち寄りながら少しずつ距離を縮めていく関係性を温かく丁寧に紡いだ。桜田はドラマ「silent」と『バジーノイズ』(24)、木戸はドラマ「海のはじまり」に続いてタッグを組んだ風間太樹監督のもと、繊細な感情表現に挑んだ2人。お互いの存在に「助けられた」と心を通わせた彼らが、初共演の感想をはじめ、自らを“支えてくれた言葉”までを語り合った。

■「自分のなかに眠っている弱さや不安を信子に投影しながら役を作っていった」(桜田)

田村茜による同名漫画を映画化した『モブ子の恋』(公開中)
田村茜による同名漫画を映画化した『モブ子の恋』(公開中) / [c]田村茜/コアミックス [c]映画「モブ子の恋」製作委員会

原作は、2017年から「月刊コミックゼノン」で連載を開始し、現在はWEB漫画サイト「ゼノン編集部」で連載中のラブストーリーだ。ずっと “脇役”として過ごしてきた大学生、“モブ子”こと田中信子(桜田)。人見知りで控えめ、自分に自信がなく、片隅で生きることが当たり前だった彼女は、周囲の人々のなかに静かに溶け込みながら日常を過ごしてきた。しかし、同じスーパーで働く入江(木戸)への恋心をきっかけに、信子の心が少しずつ動きはじめる――。

ずっと “脇役”として過ごしてきた大学生の“モブ子”こと田中信子を、桜田ひよりが演じる
ずっと “脇役”として過ごしてきた大学生の“モブ子”こと田中信子を、桜田ひよりが演じる / [c]田村茜/コアミックス [c]映画「モブ子の恋」製作委員会

――自分の想いをうまく伝えられずに足踏みをしてしまう信子と、彼女が持つやさしさに気付き、その存在をまっすぐに見つめる入江。繊細な感情の機微を表現する役どころとあって、演じるうえでは難しさを感じる部分もありましたか?

桜田「もともと原作を読ませていただいていたので、私が演じるとなった時に、どれだけ原作に描かれている信子の魅力を最大限に引き出しつつ、自分なりの信子を皆さんにお届けできるのか、そういったバランスを含め試行錯誤する部分も多かったです。風間監督とは、『私のなかに眠っている弱さや不安を信子に投影しながら、役を作っていけたら』と話していました。1か月ちょっとの撮影期間は、毎日信子に向き合いつつ、自分自身とも向き合う時間にもなりました」

――信子はどのような人だと感じましたか。

桜田「信子は、相手に対しての心配りができる人だと思います。人と接する時に考えすぎてしまうところも、私にとってはとても魅力的で、ステキだなと感じる部分で。演じながらも、『どうか幸せになってほしい』と思っていました」

木戸大聖が演じる入江は、誰も気づかぬ足元の小さな花を避けて歩くやさしい青年
木戸大聖が演じる入江は、誰も気づかぬ足元の小さな花を避けて歩くやさしい青年 / [c]田村茜/コアミックス [c]映画「モブ子の恋」製作委員会

――木戸さん演じる入江も、とても魅力的なキャラクターです。

木戸「僕が入江について『好きだな』と思うのは、信子が頑張っている姿に気づいてあげられるところです。そのことをストレートに伝えることはなかなかできない入江ですが、相手の頑張りに気づけるなんて、人としてとてもステキなことだと思います。実写版では入江側の視点はあまり描かれないので、無言のなかで信子のことを見守っている場面も多くて。気持ちをわかりやすく表出させずに彼の想いをにじませるというのは、僕にとっても挑戦的なことでした。監督に委ねながら、新たな境地に挑めたらと思っていました」

――桜田さんは「silent」と『バジーノイズ』、木戸さんは「海のはじまり」に続いて、風間太樹監督とタッグを組むことになりました。

桜田「もともと読ませていただいていた原作で、それを風間監督が撮るという企画でオファーをいただき、驚きと喜びが同時にやってきました。風間監督とご一緒する時にはいつも、自分と向き合う時間、そして成長できる時間が押し寄せてくるんです。監督が描く『モブ子の恋』は必ずや温かいものになるだろうと確信していましたし、そのなかで自分はどのように信子に向き合っていこうか、と前向きな気持ちが湧いてきました」

木戸「久しぶりにご一緒して、再び風間監督の演出を受けられることに大きな喜びがありました。風間監督は、すべての役、すべてのキャストの方の目線に立って演出をしてくださる方です。現場でもすぐにそばまで飛んで来てくれて、『こうしてほしい』と押し付けるのではなく、『この時、入江はどう思っているのかな』と彼の内面について一緒にディスカッションしてくれるんです。そこには一切妥協がないので、時には『もう1回』と何度もやり直すこともありますが、自分としてももっといいものが出せるのではないかと前向きになれるような『もう1回』をくれる。これが風間監督の現場だと、改めて噛み締めていました」

■「ひよりちゃんが演じる信子は、『そばにいたい』『隣にいたい』と思えるような信子だった」(木戸)

――お2人は今回、初共演となりました。お互いの印象を教えてください。

桜田「木戸さんのクランクインが、映画の始まりでもある入江くんがショッピングカートを押しているシーンで。そこで初めて入江くんを演じる木戸さんを目にして、『入江くんそのものだ』と思いました。カートを押しながらシロツメクサを一生懸命に避けている姿は、信子と同じように、私にとっても印象的なものとなり、本来、木戸さんが持っているチャーミングな部分が垣間見えるようでした。最初のシーンからそう思うことができたので、これからの撮影も楽しんでお芝居ができるなと思えたんです」
【写真を見る】桜田ひより&木戸大聖、唯一無二の透明感。2人の魅力を撮り下ろし!
【写真を見る】桜田ひより&木戸大聖、唯一無二の透明感。2人の魅力を撮り下ろし! / 撮影/髙橋耀太


木戸「うれしいです…。もう帰っていいですか!(笑)」

桜田「あはは!信子が1人で考え込むシーンもありましたが、そういった時にも入江くんを思い出す時間がとても多くて。風間監督と相談しながら『信子はどんなことを考えているんだろう』、『入江くんのことをどう思っているんだろう』と想像していく際にも、木戸さん演じる入江くんに助けられた部分がたくさんありました。木戸さんにしかできない入江くんだと感じましたし、完成した映画を観てもかわいらしい入江くんだなと思いました」

木戸「本当にうれしいです。僕は完成した映画を観て、マネージャーさんと『桜田ひよりって、やっぱりすごいな』という話をしていたんです。本作は時間がゆっくりと流れるなか、信子と入江がミリ単位で成長していくので、一つひとつ繊細な表現が求められるような作品。表面的なお芝居をしたとしたら嘘だとバレてしまうような難しさがあります。でも現場で並走していると、ひよりちゃんがまとう信子としてのオーラがビシビシと伝わってくる。佇まいからちょっとした表情の変化まで、実写として“田中信子”という人が存在するんだと思わせてくれましたし、入江役を演じていたこともあり、『そばにいたい』、『隣にいたい』と思えるような信子でした。役者としても、刺激を受けることばかりでした」

桜田「ありがとうございます。うれしいです!」

■「一歩踏み出すことでいいことが待っていることもあるのだと、改めて感じることができた」(桜田)
入江の自然なやさしさに触れた信子は、次第に彼に惹かれはじめる
入江の自然なやさしさに触れた信子は、次第に彼に惹かれはじめる / [c]田村茜/コアミックス [c]映画「モブ子の恋」製作委員会


――桜田さんからは、ご自身の弱さや不安を投影しながら演じたというお話がありました。信子を演じ切ったいま、彼女の心の動きに共鳴したのはどのようなところだと感じていますか。

桜田「私も信子のように、頭のなかでいろいろと考えてしまう癖があって。いい未来、悪い未来、どちらも考えるタイプで、『ここで自分がこうしたら、こうなるかな』と先を想像してしまうところがあります。信子が空想の世界に入るシーンや、自分の理想像を目の前に登場させてみる場面は、私の頭のなかが映し出されているような感覚がありました」

――前へと踏み出そうとしていく信子を通して、桜田さんも勇気をもらったことはありますか。

桜田「信子が入江くんに連絡先を聞くシーンがあるのですが、それは普段そういったことをできない信子にとって一世一代の行動で、とても勇気が必要なことだったと思います。どういう返事がくるかもわからないし、そもそもどんなメッセージを送ったらいいのかもわからない。たくさんの葛藤があるなかで、『入江くんとの繋がりがほしい』と行動に移した信子はすごくステキでした。思い切って連絡できたことで世界が輝いて見え、帰り道の足取りも軽やかになる。私自身、一歩踏み出すのは怖いことだけれど、そうすることでいいことが待っていることもあるのだと改めて感じることができました」

――そのシーンでの信子の足取りがとてもかわいかったです。

桜田「台本には“スキップ”と書いてあったのですが、『信子はスキップをできるのだろうか』という話になって。独特のスキップにしてみようということで、あの走り方になりました(笑)」

木戸「僕もあの足取り、好きです!(笑)」

入江への恋心をきっかけに、信子は自らの殻を破ろうともがいていく
入江への恋心をきっかけに、信子は自らの殻を破ろうともがいていく / [c]田村茜/コアミックス [c]映画「モブ子の恋」製作委員会

――木戸さんは、入江の心の動きに共鳴する点はありますか。

木戸「相手になにかを伝えようとする時に言葉を選んでしまうところは、入江ほどではないにしても、少なからず僕自身もあるなと思っていて。きちんと伝えなかったことで大切なタイミングを逃してしまう可能性もあるし、『あそこで、ああ言えばよかったかな』と後悔してしまうこともあります。劇中では、信子が就職活動で悩む展開がありますが、入江がもっと早く信子に声をかけることができたかもしれない。人と関わるうえでは、そうやって考えすぎてしまうことってどうしてもあるものなのかなと。僕自身、入江を通して『やさしさってどういうものなんだろう?』と考えさせられました。そういった意味でも自分の悩みと向き合える作品だと感じています」

■「うまくいかない時も『いつでもあなたの一番の味方だよ』と声をかけてくれるのは家族だった」(木戸)

――就職活動に臨むなか、信子が自分の存在について悩む場面は、その心象風景を“水の中でもがく”というシーンによって表現されています。桜田さんは、5月の長瀞に身を浸したと伺いました。
「本作は監督やスタッフさんと一緒に作っているという感覚がとても強かった」と桜田は話す
「本作は監督やスタッフさんと一緒に作っているという感覚がとても強かった」と桜田は話す / 撮影/髙橋耀太


桜田「そこがオールアップのシーンでした。本作は監督やスタッフさんと一緒に作っているという感覚がとても強く、撮影が進むなかで信頼関係もできていたので、水に飛び込むということへの抵抗はありませんでした。ただ私は泳ぐのが苦手ということもあり、精神的にはハードなシーンでもあって。足が付くような浅いところでの撮影で、溺れる心配はなかったのですが、水の力をすごく感じました。信子の心情と、私が水に対して感じる思い。ハードなシーンではありましたが、その2つがリンクした、私にとってとても意味のあるシーンになりました」

木戸「ひよりちゃんは水が苦手というお話を聞いていたので心配していたんです。でも当日は『とことんやってやるぞ』という意志が見えて、モニター越しにひよりちゃんの役者魂を目にしました。怖いと身体が固くなったり、小さな動きになったりすると思うのですが、ひよりちゃんは覚悟を決めた人の動きをしていましたから。監督のOKがかかった瞬間、現場では拍手が湧き起こりました」

――信子と入江は、お互いの存在を励みに未来へと進んでいきます。お2人にとって「この人の存在や言葉が支えになった、励まされた」と感じるようなご経験がありましたら教えてください。

桜田「いま思い浮かぶのは、風間監督からの言葉です。今回は信子を演じるうえで、自分自身と向き合い、これまであまり人に話してこなかったような葛藤やネガティブな感情を監督に吐露することもありました。そこで人との関わり合いに対する悩みをお話した時に、風間監督から『人と人の間に、なにもないってことはないから』と声をかけていただいて。私は、その言葉にすごくハッとしたんです。人と人が関われば、そこには必ずなにかしらの感情や関係性が生まれる。だからこそ『仲良くなりたい』、『この人のことをもっと知りたい』と思う相手には、誠意を持って関わらないといけないんだと改めて感じて。この人と関わりたいと思ったらそこで腹を括って、なにがあっても受け止めて、相手への思いやりを持ちたいなと思いました。風間監督の言葉をきっかけに、人との接し方や関わり方が大きく変わったように思います。また、こうして自分の悩みや弱さと向き合ったことで、俳優として、そして人としても強くなれたように思いますし、自分のことをより理解するきっかけにもなりました」
「入江を通して『やさしさってどういうものなんだろう?』と考えさせられた」と語った木戸
「入江を通して『やさしさってどういうものなんだろう?』と考えさせられた」と語った木戸 / 撮影/髙橋耀太


木戸「僕にとって、家族の存在はやっぱりとても大きなものだと思います。親戚含め、自分の家系には僕のような仕事をしている人はいないのですが、みんなすごく応援してくれていて。そして同じくらい心配もしてくれるんです。僕は比較的、この世界に入るまでに時間がかかった人間です。だからこそいまは悩みや不安以上に、俳優として現場に立てている喜びや好奇心のほうがずっとまさっている。苦しさや悔しさも、味わえていることがうれしいくらいです。なかなかうまくいかない時にも、『いつでもあなたの一番の味方だよ』と声をかけてくれるのは家族でした。これまでにも何度かその言葉をもらっていて、そのたびに心強く、救われる想いがします。いろいろな作品に出させていただけるようになってからは、『無理をしないでね』と伝えてくれることも多いですね。『こういう仕事をやりなさい』と言うのではなく、いつも自分のことを認めてくれて、気にかけてくれていることに感謝しています」

取材・文/成田おり枝
配信元: MOVIE WALKER PRESS

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