『精神科医おどおど日記——閉鎖病棟24時、本日当直、あらゆる精神疾患寝ずに診ます (日記シリーズ)』(三五館シンシャ/フォレスト出版)
駒木 爽
2026/5/211,540円(税込)208ページISBN: 978-4866809526私は、関東地方Ⅹ県にある精神科救急病院で10年以上勤務している精神科医だ。かつて外科医だったころ、精神科は死からもっとも遠い診療科だと考えていた。
いくら心を病んだとしても、それが直接心肺機能を止めることはないからだ。
しかし、それは思い違いだった。
20~30代の死因の1位は自殺だ。その大半が、自殺直前に精神科を受診すれば何かしらの診断が下る精神状態だとされる。つまり、精神科は若者の死をもっとも身近で経験する診療科なのだ。
実際に十数年に及ぶ精神科勤務の中で何名もの患者の自死に接してきた。
私の勤める精神科病院は、重症患者の入院施設を併設する。わかりやすくいえば閉鎖病棟だ。
朝から晩まで奇声をあげ続ける統合失調症の人、数十年にわたって入院し意思疎通が困難になった認知症の人、アルコール依存症、双極性障害、うつ病……ここにいるのは、いずれも重症の患者ばかりだ。
本書では、彼ら彼女らとのやりとりを中心に、精神科のきれいごとでは済まないリアルを描く。
医療現場の問題は正論だけで片付けられないし、精神疾患に無力感を突き付けられることも多い。
そこには最近流行っている精神科マンガでは語られることのない、生々しい現実がある。

