現地時間10月7日(日本時間8日)、シカゴ・ブルズが敵地ロケット・アリーナへ乗り込み、クリーブランド・キャバリアーズとのプレシーズンゲーム初戦に臨んだ。
試合は同点7度、リードチェンジ6度を数え、最後まで勝敗の行方がわからない展開の末、アウェーのブルズが118-117で勝利を飾った。
ブルズは得点源のコビー・ホワイトが欠場するも、バックコートにジョシュ・ギディーとケビン・ハーター、フロントコートにはアイザック・オコロ、マタス・ブゼリス、ニコラ・ヴュチェビッチが並び、概ねレギュラーシーズンと同様の先発陣を形成。
2年目のブゼリスがゲームハイの19得点に8リバウンドをあげると、控えのザック・コリンズが16得点、アヨ・ドスンムが12得点と計7選手が2桁得点を残した。
そしてサマーリーグで脚光を浴び、2WAY契約を結んだ河村勇輝もプレシーズン初出場。第3クォーター残り2分22秒にドスンムと代わってコートインすると、コリンズのダンクをお膳立てし、最終クォーターにもアシストを連発した。
24歳の日本代表ガードは、14分22秒の出場で3ポイント1本成功の3得点に3リバウンド、ギディーと並ぶチーム最多タイの5アシストで勝利に貢献した。
4ファウルに3ターンオーバーとサイズ面で苦戦したシーンもあったが、NBA公式がXに投稿したハイライトは表示回数で32万回(日本時間10日16時時点)を突破。
プレシーズンゲームは82試合が組まれるレギュラーシーズン(公式戦)とは異なるものの、デビュー前の若手やNBAの当落線上にいる選手たちが競い合うサマーリーグとは違って、現役選手がプレーするだけに試合の強度はおのずと上がる。
そのなかで現役最小身長(173cm)の日本人ガードがアシストを連発したことで、SNS上でも話題に。「アシストモード発動だ! カワムラは一晩中アシストを出し続けていた」、「あのアシストは超スムースだった! あの男のコートビジョンはヤバすぎるな」、「カワムラが6フィート3インチ(191cm)だったら、NBAで先発PGになれるだろう」、「ユウキにもっと出場時間を与えることを願っている」といったファンのコメントであふれた。
河村は9日のキャブズ戦でも終盤7分間の出場で3得点、5リバウンド、3アシストを記録。ブルズのプレシーズンゲームは残り3試合で、22日(日本時間23日)のデトロイト・ピストンズ戦でシーズンが開幕する。 現状、ブルズのポイントガード陣は先発のギディーを筆頭に、トレ・ジョーンズ、ジェボン・カーターが控えており、2WAY契約の河村は事実上4番手。
NBA挑戦2年目の今季は、ブルズと傘下のGリーグチーム(ウィンディシティ・ブルズ)を交互に行き来することになるだろうが、ブゼリスをはじめ若手選手の輪に溶け込んで良好な関係を築けているのは、ケミストリー構築の面で大きなプラスと言っていい。
また河村にとっては、昨季メンフィス・グリズリーズと傘下のメンフィス・ハッスルでプレーした経験が活きるかもしれない。ブルズは昨季、48分間におけるポゼッション数を示すペースでグリズリーズ(103.69)に次ぐリーグ2位の103.61、パス数でも同3位の平均309.3本を記録していた。
そのため河村も「僕にフィットする気がしています。このシステムが大好きです。ブルズのオフェンスへ順応するのに時間はかかりませんでした」と自信を覗かせている。
2023年のワールドカップや24年のパリオリンピックで日本のエースガードを務めてきたとはいえ、NBAで生き残ることは並大抵のことではない。現状も1年間の2WAY契約のため、ブルズにおける将来が約束されたわけでもない。
それでも、NBA定着を目指す河村はこう話す。
「僕はただ、チームのためにできる限り貢献したいだけです。NBAであろうとGリーグであろうと、自分のパフォーマンスやプレーの面で常に安定していなきゃいけない。僕の目標はいつの日かNBAの本契約を手にすることです。ですが、今はただ目の前のことに集中して、チームに貢献したいです」
河村にとって、NBA2年目の挑戦はまだ始まったばかり。この先どんな展開が待ち受けているかはわからないが、1日1日、毎分毎秒でベストを尽くすことで、道が開けてくると期待したい。
文●秋山裕之(フリーライター)
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