「野球史上最高のシーズンになりつつある」
米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者が現地6月4日の記事で、このようにロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平を形容した。大谷は3日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に先発して6回無失点と好投し、打者として3安打、2四球。この時点で投手として6勝2敗、防御率0.74、打者として打率.301をマークした。
大谷の活躍についてナイチンゲール記者は、「ドジャースの選手たちのフラストレーションが募り始めている。彼らは何度も同じ質問を受けているが、新しい答えを持っていない。簡単に言えば、大谷を称賛する最上級の表現を使い果たしてしまったのだ。ドジャースの選手でロジェの類語辞典をロッカーに常備している者などひとりもいないのだから」と、チームメイトの視点を利用して記した。
「地球上でもっとも偉大な野球選手ショウヘイ・オオタニを、一体どれほど多くの表現で形容できるだろうか。捕手のウィル・スミスは“史上最高の選手。この地球上に存在したなかで、もっとも偉大な選手だ”と語り、対戦相手ダイヤモンドバックスのヘラルド・ペルドモは“別の惑星から来たんだ”と一歩踏み込んだ言葉を用いた。3日のダイヤモンドバックス戦で大谷は、生きている人間が誰も見たこともないような素晴らしい景色を、あらためて世界に示した」
大谷はダイヤモンドバックス戦で最初の11打者を連続アウトに抑え、6回被安打2、無失点。ナイチンゲール記者によると、防御率0.74は、シーズン開幕から10試合時点でMLB史上3番目の低さで、しかも6回以上を無失点に抑えた投手が打者として5回以上出塁したのはMLB史上4度目。大谷以前に達成したのは、1964年にメル・ストットルマイヤー(ニューヨーク・ヤンキース)が最後だという。
そんな大谷に対してダイヤモンドバックスのトレイ・ロブロ監督は、「メジャーリーグより上のレベルのリーグでプレーできる数少ない選手のひとりだろう。これが私にとって彼を定義できる最善の表現方法だ。彼がやっていることは異常だ。いつ回ってくるのかつねに打順を把握しておかないといけないし、抑えるための対策も練らないといけない。これまで多くの優れた選手を見てきたが、間違いなく見てきたなかで最高の選手だ」と説明した。
このようにロブロ監督のコメントを用いたナイチンゲール記者は、「それもそうだろう。ベーブ・ルースが最後に試合をしたのは91年前の1935年だし、存命で100歳を超えている元メジャーリーガーはビル・グリーソン(101歳)とボビー・シャンツ(100歳)しかいないのだから」と、ダイヤモンドバックス指揮官の「大谷は過去最高の選手」という言葉を肯定した。
「ベーブ・ルースでさえ、同じシーズンに20本以上のホームランを打ち、10勝以上を挙げたことはない。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は今シーズンの大谷が、“キャリア最高のシーズンを送るだろう”と語っている。確かに大谷いまの調子を維持できれば、全米野球記者協会は5度目のMVPトロフィーに大谷の名前を刻み始めるべきだし、ドジャースはドジャー・スタジアムの外に建てる大谷の銅像の設計図を描き始めなければならない。クーパーズタウンの野球殿堂博物館も、大谷のスペースを空け始めるべきだ」
続けてナイチンゲール記者は、「大谷自身も、そろそろ周囲の人々と同じように、自分が成し遂げていることの偉大さを認識する時が来たのかもしれない」と記載。「ほかの誰かなら間違いなく有頂天になってマウンドで踊り、バットをスタンド上段まで投げ上げたり、SNSで新しいパフォーマンスを考え出したりするだろう。しかし、申し訳ないが、それは大谷のスタイルではない」と記した。
「この選手は、すでに4度のMVPを受賞している。また、同一シーズンに50本塁打と50盗塁を達成した史上唯一の選手だ。本塁打王に2度輝き、打点王にもなっている。ロサンゼルス・エンジェルス時代(2022年)には15勝9敗、防御率2.33、34本塁打を記録しているが、しかし、今シーズンはそれを上回る成績を出すかもしれない。そうなれば、間違いなく野球史上最高のシーズンになる」
ナイチンゲール記者の見立て通り、大谷は3年ぶりの二刀流フルシーズンで誰も成し遂げられなかった領域に足を踏み入れるのか。
構成●THE DIGEST編集部
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