最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
「苦手な食べ物でもひと口は食べてみよう」は虐待や不適切保育なのか? 保育現場も困惑する新基準と専門家が指摘する「構造的問題」

「苦手な食べ物でもひと口は食べてみよう」は虐待や不適切保育なのか? 保育現場も困惑する新基準と専門家が指摘する「構造的問題」

不適切保育の背景にある「職場の構造的問題」

髙橋氏によれば、不適切保育は原因によって「限界・爆発型(環境要因)」「スキル不足型(技術要因)」「加虐・嗜虐型(資質要因)」の3つに分類できるという。

「これらを混同すると誤った対応につながります。重大なニュースになるような『加虐・嗜虐型』の事案に対して、『保育士が忙しすぎるからだ』と原因をすり替えることは大変危険です。

明らかに悪意ある行為を環境のせいにして放置することは、日々誠実に働く同僚への裏切りであり、組織の機能不全を招きます」(髙橋氏)

さらに、不適切保育への対応は組織の風土やマネジメントのあり方によって大きく異なると髙橋氏は指摘する。

「不適切行為を引き起こす原因には、個人の疲労だけでなく、『チームの雰囲気が悪い』といった集団的な要因も存在します。

問題を特定の個人の責任に押しつけ、他の職員が他人事と捉えるような組織では、過度な業務量や人手不足といった根本的な問題から目を背けることになります。

一方、適切な対応ができている組織では、マネジメントが『責める』ためではなく『守る』ための仕組みとして機能しています。

そのような園では、違和感を個人の性格の問題としてではなく、リスクとして報告できる風通しの良さが構築されており、これが最大の防止策となっています」

では、どうすれば虐待は不適切な保育を防げるのか。

保育現場の最大の課題として、髙橋氏は「人手不足や書類過多などの職場の構造的な問題によって、保育士が著しく消耗・疲弊していること」を挙げる。

「残業や休憩不足により心のエネルギーが枯渇すると、人は『これ以上エネルギーを使いたくない』という防衛反応を起こします。

その結果、多大なエネルギーを要する『優しく寄り添う』という適切な対応の代わりに、エネルギー消費がゼロで即効性のある『感情的に怒鳴る』というショートカット(不適切行為)を選んでしまうリスクが高まります。

疲弊した環境下では、誰もが感情的になり不適切な対応に陥るリスクを抱えています。不適切な行為を防ぐには、保育士自身がエネルギーに満ちたウェルビーイングな状態であることが不可欠であり、保育者の心の充実を図ることが、現場における喫緊の課題です」

「職員一人ひとりがこどもの人権・人格を尊重する意識を共有すること」とガイドラインにも示されている。虐待に当たるかどうかという線引きだけでなく、「これは適切な保育だったのか」を職員同士で振り返り、改善につなげていくことが求められている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

提供元

プロフィール画像

集英社オンライン

雑誌、漫画、書籍など数多くのエンタテインメントを生み出してきた集英社が、これまでに培った知的・人的アセットをフル活用して送るウェブニュースメディア。暮らしや心を豊かにする読みものや知的探求心に応えるアカデミックなコラムから、集英社の大ヒット作の舞台裏や最新ニュースなど、バラエティ豊かな記事を配信。

あなたにおすすめ