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木戸大聖が『モブ子の恋』で見せる新味…口裂け女の弟子になる高校生、早世の詩人、ケンカの弱い不良(?)などを演じてきたユニークなキャリア

木戸大聖が『モブ子の恋』で見せる新味…口裂け女の弟子になる高校生、早世の詩人、ケンカの弱い不良(?)などを演じてきたユニークなキャリア

ドラマ「silent」「海のはじまり」を手掛けた風間太樹監督が、田村茜の人気コミックを実写映画化した『モブ子の恋』(公開中)。誰かを好きになることの喜びや戸惑いを優しく描く本作で、桜田ひよりと共にW主演を務めているのが木戸大聖だ。人懐っこい笑顔で、どこか憎めないキャラクターを演じることの多い彼。その出演作を振り返ると実はかなりユニークだ。今回はその歩みに迫ってみよう。

入江を演じるにあたり“受けの芝居”を意識した木戸
入江を演じるにあたり“受けの芝居”を意識した木戸 / [c]田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会

■「First Love 初恋」で佐藤健の高校時代を演じてブレイク

木戸は、2017年に放送された窪田正孝主演のドラマ「僕たちがやりました」で俳優デビュー。NHKの教育番組「おとうさんといっしょ」のレギュラーを3年ほど務めつつ、沢村一樹主演「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」ほか話題のドラマに出演し、経験を積んでいく。

ブレイクしたのは2022年にNetflixで配信されたオリジナルシリーズ「First Love 初恋」。宇多田ヒカルの名曲から着想を得た作品で、運命的に出会いながら幾度もすれ違う男女の約20年にわたる愛の軌跡を描き、国内外で大きな反響を呼んだ。木戸は佐藤健演じる並木晴道の高校時代を演じ、恋に落ちる喜びや将来への希望、そしてせつなさを瑞々しく体現。思わず応援したくなる、ヒロインに一途な高校生をまっすぐに演じ切り、一躍注目された。

■ホラーコメディからアニメーション、文芸作品、不良アクションにまで出演!

そして映画初主演作となったのが、都市伝説をモチーフに紡がれた『先生!口裂け女です!』(23)だ。ヤンキー高校生3人組が“口裂け女”のバイクを盗んで売り飛ばしたことをきっかけに、大騒動へとつながっていく青春バトルホラー。木戸が演じたのは、なんと口裂け女に弟子入りしてしまう不良高校生のタケシ。ちょっと気が弱い心優しきヤンキー役をユーモア交じりに表現し、その対応力の高さを見せつけた。

さらに、アニメーション映画『きみの色』(24)では声優にもトライ。人が“色”として見える高校生の少女と、音楽を通じて心を通わせていく仲間たちの青春を描いた山田尚子監督作で、木戸は主人公たちとバンドを組む影平ルイの悩める心の機微を繊細に表現。穏やかな声のトーンが耳に心地よく、温厚な人柄を際立たせていたのも印象的だった。

音楽が好きな影平ルイの悩める心の機微を繊細に表現した『きみの色』
音楽が好きな影平ルイの悩める心の機微を繊細に表現した『きみの色』 / DVD通常版 発売中 価格:4,400円 発売元:STORY inc./サイエンスSARU 販売元:東宝 [c]2024「きみの色」製作委員会

また、昨年は広瀬すず、岡田将生と共演した『ゆきてかへらぬ』(25)で、若くして世を去った実在の詩人である中原中也を演じている。大正時代~昭和初期を舞台に、女優の長谷川泰子(広瀬)、中原、文芸評論家の小林秀雄(岡田)の壮絶な三角関係と創作への想いが描かれた。木戸は天才ゆえの純粋さと激情をスクリーンに活写し、これまでとはひと味違う存在感を放っている。

若くして世を去った実在の詩人、中原中也を演じた『ゆきてかへらぬ』
若くして世を去った実在の詩人、中原中也を演じた『ゆきてかへらぬ』 / Blu-ray 発売中 価格:5,500円 発売元:株式会社キノフィルムズ/木下グループ 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング [c]2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会

一方、街を守る不良たちの活躍を描く青春アクション『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』(25)では、ケンカは弱いが仲間思いの高校生、楡井秋彦を好演。木戸の持ち味である人懐っこい笑顔や明るさが、最も自然な形で重なったキャラクターだったといえるだろう。
【写真を見る】ケンカは弱いが仲間思いの高校生、楡井秋彦を好演(『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』)
【写真を見る】ケンカは弱いが仲間思いの高校生、楡井秋彦を好演(『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』) / [c]にいさとる/講談社 [c]2025「WIND BREAKER」製作委員会


■内気なヒロインの世界を広げていく青年を好演

そんな木戸は、最新作『モブ子の恋』でヒロインの田中信子(桜田)が思いを寄せる大学生の入江博基役で出演している。

アルバイト先の同僚である入江に恋した信子
アルバイト先の同僚である入江に恋した信子 / [c]田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会

本作は、自分のことを“モブ=脇役”だと思いながら生きてきた大学生の信子が、アルバイト先の同僚である入江に恋したことをきっかけに、自分自身と向き合っていくラブストーリー。人前で自分の気持ちを伝えることが苦手な信子が、恋を通じて少しずつ世界を広げていく姿が映しだされていく。ド派手なアクションやセンセーショナルな出来事はないが、誰かを好きになることで見える景色の変化を丁寧にすくい取った心に響く感動作となっている。

ついに2人で遊びに出かけることに
ついに2人で遊びに出かけることに / [c]田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会

■“受けの芝居”に喜びや戸惑いをにじませながら入江を造形

“もう一人の主人公”である入江は、相手の話に耳を傾け、周囲への気遣いを忘れない青年だ。自分の感情よりも相手を優先してしまう不器用な一面を持っているものの、その穏やかな優しさが、人見知りで控えめな信子の心を少しずつ動かしていく。

自分の気持ちを伝えることが苦手な信子
自分の気持ちを伝えることが苦手な信子 / [c]田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会

木戸はこの入江という役柄について、「これまであまり演じてこなかったキャラクター」とコメントしている。演じるにあたっては、相手の言葉を受け止める“受けの芝居”をしつつも、喜びや戸惑いを要所ににじませ、入江という人物を立体的に造形。さりげない表情や視線、言葉を発するまでのわずかな間から優しさや誠実さを感じさせ、等身大の青年としてスクリーンに息づかせている。なお、トレードマークの笑顔は本作でも健在。思わず心奪われる瞬間を堪能してほしい。
入江の穏やかな優しさが人見知りで控えめな信子の心を少しずつ動かしていく
入江の穏やかな優しさが人見知りで控えめな信子の心を少しずつ動かしていく / [c]田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会


ホラーコメディからアニメーション、文芸作品、不良アクションまで様々なジャンルに挑戦してきた木戸。1996年生まれの彼は今年12月に30歳を迎えるが、その歩みはまだまだ始まったばかり。これからどんな人物像をスクリーンに刻んでいくのか。『モブ子の恋』と共に、俳優、木戸大聖の次なる一歩からますます目が離せなくなりそうだ。

文/足立美由紀
配信元: MOVIE WALKER PRESS

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