わからなかった、その「もう帰って」
あと少しで着くというところで、彼女から「もう帰って」と届きました。とっさに「え、なんで?」と返しましたが、それ以上の返信はありません。せっかく友達に頼んで、栄養のある物まで用意したのに、どうして。理由がのみ込めないまま、俺は「わかった、また連絡する」とだけ送りました。来た道を引き返しながら、友達は「気にすんなって」と笑ってくれましたが、俺の頭の中はずっと同じ問いでいっぱいでした。よかれと思ってしたことが、なぜ彼女を追い詰めてしまったのか。
そして...
最初は笑っていた友達が、途中で真顔になって俺に言いました。「お前さ、彼女が来てほしいって言ったのは、お前にだろ。料理がほしいなんて一言も言ってないだろ」。図星でした。歩きながら、俺はその言葉を何度も頭の中で繰り返していました。弱った姿を見せられる相手に、そばにいてほしかっただけ。それを俺は、よく知らない人間まで連れていって、彼女が1番見られたくない瞬間を踏みにじろうとしていた。友達にそこまで言われて、ようやく自分の空回りに気づいたのです。たとえ何も作れなくても、次はひとりで駆けつける。まずはきちんと謝ろう。そう決めて、俺は料理の練習も始めることにしました。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
