マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』が全米・全世界で2026年4月24日 (金) 公開された。日本では少し遅れて6月12日 (金) から公開される。急遽、IMAXで6月5日 (金) からの先行上映が決まって、早いマイケル・ファンはすでにこの映画を体験されていると思う。本稿は6月7日に書いている。この映画は全米公開以降、最新情報がどんどんアップデートされているので、現時点での最新情報をいれて書いてみる。基本的にはまだ一般公開前なので、できるだけネタばれにならないように配慮しますが、どんな情報も鑑賞以前にいれたくないという方は、十分ご注意ください。
何度も体験したくなる中毒性
僕はこの映画を試写で5回、昨日 (6/6) IMAXで計6回鑑賞した。試写室で見た後、あちこちのSNSやラジオ番組などで、「ぜひ劇場で見る時はIMAXで見てください」と言ってきた。そして昨日IMAX劇場に入った瞬間、「これはまちがいない」と確信した。この作品は絶対に音楽の音が大きいところで観た方がその「体験ぶり」が直撃する。IMAXはスクリーンが大きく、真ん中あたりに席を取ったが、それでも、少し見上げる感じになり、もう少し上の席でもよかったかな、と思ったほどだ。これまでにIMAXで映画はなにか見たと思うが、今回の『Michael/マイケル』ほど、IMAXへの期待度が高かったものはない。大きな画面、大きなサウンド、特にライヴ・シーンになると、まるでライヴ会場にいるように思えてくる。
この映画の最大の魅力のひとつが、このライヴ感の見事な再現だ。もちろん、これまでにもライヴ映像を映画化したものは多数あった。マイケルの前作『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(2009) も、そうしたものだった。ただ、あれは元々制作予定ではなく、マイケルの急逝 (2009年6月25日) を受けて作られたもので、精密に映画のプロット、ライヴ映像などが作られたものではなかった。それでも、そのライヴ・シーンなどは、迫力があったのだが‥‥。今回の映画『Michael/マイケル』のライヴ・シーンは、まさにそれを見せることを最大の目的としているような様相を呈していた。そして、それゆえに多くの人がリピート鑑賞をしている。映画業界のデータで「リピート鑑賞率」などを調べるものがあれば、これはまちがいなく上位に来ると思われる。
特にエンディングの近く、『ヴィクトリー・ツアー』の「ヒューマン・ネイチャー」から「ワーキング・デイ・アンド・ナイト」~そしてエンディング・クレジットまでの約15分、そしてクレジットが終了する「ドント・ストップ・ティル・ユー・ゲット・イナフ」までのさらに10分超の音楽ノンストップのところは、席に座っているのが困難になるほどだ。
ほかにも音楽シーンはいくつも出てくるが、このシーンゆえに、多くの人々は、この映画を再度見たいとリピートすることになる。
初週から大ヒット、そのヒット要因
映画『Michael/マイケル』は、4月24日全米・全世界公開後、スカイロケットの如く、観客動員数を伸ばしている。6月6日時点で、いわゆる「音楽伝記映画」として現状歴代1位のクイーンの作品『ボヘミアン・ラプソディー』(興収:9億1千万ドル / 日本円で約1460億円 公開:2018) の記録を抜くのは間違いないと見られ、その次に「伝記映画」としての歴代1位記録を持つ『オッペンハイマー』(興収:9億7500万ドル / 日本円で約1560億円 米国公開:2023) をも抜き、おそらく、10億ドル (日本円で約1600億円) の興行収入を記録するだろうと見られている (現状、公開6週で全米、世界を含めて8億6000万ドルの興収、前記2作品は約半年の興行収入合計) 。「伝記映画」としても歴史に残る成績を収めることになりそうだ。文字通りナンバーワンだ。そして、この映画の成功とともに、マイケル・ジャクソンの音源の再生がSpotify、YouTubeなどで爆発的に伸び、ビルボード誌などのチャートにも映画関連楽曲などが軒並みエントリーしている。映画とはまったく関係のない「シカゴ」(2014年アルバム『エスケープ』収録) まで、なぜかチャート入りする勢い。いわば、まさに2026年は再びマイケル・ジャクソン旋風が吹き荒れているのだ。
では、音楽伝記映画なら、すべてがこのように成功するかと言えば、そうとも言えない。クイーンの作品は『Michael/マイケル』と同じプロデューサー、脚本家でもあり、それを踏襲していたが (本作が踏襲したと言ったほうが正しいか)、やはりそのアーティストにあらゆる側面から魅力がないとこうはいかない。
特に映画『Michael/マイケル』がこれほどまでの成功を収めたのは、マイケル・ジャクソンというアーティスト、人間の圧倒的な魅力に負うところが大きい。幼少期を失ったために、子供時代への憧憬によって培われたその独特の個性、卓越したダンスのセンス、ずば抜けた音楽的才能、そして、多くの読書に支えられた物事の本質を見抜く力、そして、何が正しいか、正義かを主張できるだけの胆力、そうした強固な個性、考え方に根付いたマイケル・ジャクソンという人間の性格、それらがすべて多くの人の支持を集めることになったのだ。
仮にマイケル・ジャクソンのことを斜に構えて見てきた人も、おそらく本作品を見ると、そういうことだったのか、全然、知らなかった、と言って、心を寄せることになるかもしれない。
