発表は深夜1時だった。6月10日に楽天が三木肇監督の休養を公にした時刻が、球団の動揺を物語っていた。前夜の巨人戦は2-8で完敗し、これで4連敗。借金は15まで膨らんだ。「双方協議により」という言葉が添えられ、塩川達也ヘッドコーチが監督代行として指揮を執る。
ところがファンの反応は冷ややかだった。
「休養というより事実上の解任」
「また現場が切られた」
最下位の責任を取った監督休養なのか、それともまた楽天らしい「現場切り」なのか。
数字は確かに厳しい。58試合で21勝36敗1分、首位の西武とは14.5ゲーム差、5位のロッテにも7ゲーム差をつけられている。交流戦は2勝10敗。4月中旬まで上位争いに絡んでいたチームは、5月以降に音を立てて崩れた。
誤算も重なった。期待の助っ人ボイトは打撃不振で離脱し、昨季ベストナインの宗山塁は開幕直前に左手首を痛めて出遅れた。西口直人もコンディションを崩した。
球団は5月、2軍から山下勝巳打撃コーチを1軍に呼び、6月に入ると鈴木大地のシーズン中の主将起用という異例の手まで打ったが、流れは戻らなかった。
この「実質的な解任劇」で象徴的なのは、前田健太が6月14日の広島戦に登板する可能性が浮上した際の、三木監督の言葉だ。
「可能性はゼロじゃないけど、僕がひとりで決められることじゃないし、チームが勝つためにいい選択をする」
投手起用ひとつをめぐって、なぜ監督が「ひとりで決められることじゃない」と口にしなければならないのか。
試合中に電話で選手交代の指示が飛ぶ「オーナーの操り人形」
ここで誰もが思い浮かべるのは、三木谷浩史オーナーの「現場介入」だろう。大久保博元監督時代には、試合前に先発オーダーをFAXで送るとオーナー側から赤ペンが入り、試合中も電話で選手交代の指示が飛んできた、と報じられている。
まさに「楽天の監督には権限がない」「オーナーの操り人形」というイメージを定着させたものであり、三木監督の衝撃発言が、それを半ば裏付けることになった。
そもそも楽天は、監督が長く続かない球団である。2005年の田尾安志、2010年のマーティ・ブラウン、2015年の大久保博元、2019年の平石洋介、2020年の三木肇、2024年の今江敏晃。いずれもわずか1年で首を切られている。
ちなみに今江監督に至っては、2年契約の1年目で、しかも球団創設20周年の節目に初の交流戦優勝を成し遂げながら、続投を許されなかった。成績だけでは片づけられない不可解人事。こうも短命に終わっては、もはや監督のなり手は…。
当面は塩川代行のもとで再建が始まる。だが本当の問題は、次の監督が誰かではない。監督を替えれば済む話なのか。指揮官が短命に終わる球団で、継続的なチーム作りなど可能なのか。
三木監督の休養は順位表よりはるかに深く、楽天という球団の体質をあぶり出している。
(ケン高田)

