その日、私はどうしてもサムギョプサルを食べたかった。分厚い豚バラ肉をサンチュに包み、ニンニクやキムチ、青唐辛子と一緒に口に放り込みたかったのである。
肉を食べ終わったら、その鉄板に白米と卵を入れて炒めたい。そう、チャーハン(ポックンパ)だ。肉とニンニクの旨味が残った鉄板で作るなんて最高だろう……と締めのイメージまでしっかり出来ていた。
だから店員さんに「相席になりますけどよろしいですか?」と聞かれて少し戸惑ってしまった。えーと、相席でサムギョプサルっていいんだっけ?
・店的にはOK
気になったので、「サムギョプサルが食べたいんですけど、相席で注文してもいいんですか?」と聞いてみたところ、「全然大丈夫ですよ」と店員さん。
店のルール的には何の問題もないらしい。ただ、サムギョプサルということは鉄板が出てくる。しかも、恐らくコンパクトな鉄板ではない。そこそこのサイズのヤツだ。
相席なのに、そんなゴツいものをセッティングしていいのか?
これがもしカウンター席だったら、個人的には心理的抵抗をほぼ感じない。あるいは、焼肉ライクのように仕切りがあるような店だと、何の問題もないだろう。
だけど、今回私が訪れたのは1人焼肉専門店でもなんでもない。「ヒョンチャンプルコギ」という池袋にある韓国料理店。
お店が混んでいたから相席……つまり、知らない人と一緒に1つのテーブルに座っているのである。
幸いにも、席の間隔はそこそこ広い。というか、対面までの距離は遠い。だから、油が飛んだりすることはほぼないだろう。匂いも気になるが、韓国料理店にいる時点で私がサムギョプサルを頼もうがどうしようが一緒か。
ちなみに、サムギョプサルセットは2人前で3299円。1人でも注文可能とのことだが、メニューに「2人前」で表記されていることを見ると、やはり2人以上での注文が一般的なようだ。
そういう意味でも1人で注文するのは気が引けるが、「韓国でも1人で外食をする人の割合は年々増えている」とロケットニュースに書いてあったから大丈夫……かな? 私が細かいことを気にしすぎ……なのかな?
なにより、店員さんが「全然大丈夫」と言っているんだから、大丈夫だろうと考えて注文してみることに。
数分後、運ばれてきたサンチュなどのサムギョプサルセット。
そして、鉄板! 周囲の視線が一瞬でそこに集まる。同時に……
「こいつ、1人なのにサムギョプサルいく気か!?」
──という心の声が、向かいに座っているお客さんから聞こえた気がした。それに対して、私は心の中で返事をする。「すみません、行かせていただきます……!」
やがて、焼き上がった豚肉を口に運ぶと……
うめええええええええ!!!!
となったわけだが、実際は「遠慮なく楽しむ」というわけにはいかなかった。私が小心者すぎたのだろうが、相席という状況がブレーキになったのが正直なところ。
普段は相席でも気にしないのに、自分がサムギョプサルを頼んだ手前どうしても申し訳なさがあるというか、浮いている感があるというか……。
逆に、そんな状況だからこそ焼肉ライクのすごさをひしひしと感じた。お店全体が相席みたいなものなのに、仕切り板を設置したりして1人でも焼肉を楽しめるようになっているのは、簡単なようで簡単じゃない。
・韓国では相席で1人サムギョプサルって普通?
それにしても、本場韓国では1人でお店に入って相席でサムギョプサルを頼むことってあるのだろうか?
気になったので、韓国に留学経験もある当サイトのP.K.サンジュンに聞いてみたところ……
「相席で1人サムギョプサル? それは珍しい……っていうか、ありえないわ」
──とのことで、やはりサムギョプサルはグループで楽しむのが一般的なようだ。
私自身1人飯は大好きだし、1人食べ放題にもよく行くが、「さすがにサムギョプサルは誰かと一緒の方がいいかも」と思ったのが率直な感想だ。
店によっては1人かつ相席でもサムギョプサルを注文できるものの、全力で楽しめるかどうかは別問題。そのことを痛感した1人相席サムギョプサルであった。
