
「ブレるなら、そもそも目的にはたどり着けない」吉田麻也が説く“想定外”との向き合い方【現地発コラム】
ナッシュビル滞在2日目の6月9日(日本時間10日)、この日は代表練習がオフで宿泊先のアパートでパソコンとにらめっこをしていた。すると、晴天だった空がどんよりと雲に覆われ、ゴロゴロと雷が鳴る。そのうち豪雨となり、地響きのような轟音とともに雷が落ちて地面が揺れたかと思えば、アパートが停電になってしまった。
モンテレイでは飛行機遅延、断水などのトラブルに見舞われたが、ナッシュビルでも突然のアクシデント。アパートの管理人に原因を聞くと、「洪水が発生するケースもあるのよ」と教えてくれた。
他の日本人記者も、ダラス・フォートワース国際空港に到着する前に地方の空港で降ろされて一夜を明かしたり、モンテレイ国際空港から飛行機が飛ばなかったり、そうしたハプニングに遭遇しているそうで、今回のワールドカップ取材は一筋縄ではいきそうにない。
北中米ワールドカップでは、取材陣だけでなく日本代表もまた、想定外の事態に直面している。事前キャンプ地のモンテレイでは練習場変更やトレーニング開始時間の前倒しを余儀なくされたほか、暑熱対策を目的に選定したにもかかわらず、練習初日と最終日以外の3日間は予想に反して涼しい気候だった。冨安健洋が「もう少し暑かったら良かった」と語ったように、当初のプランを崩された部分もあった。
想定外のトラブルについて、サポートメンバーの吉田麻也は再合流初日の6月5日に「天候は難しいですよね」と持論を展開した。
「どんなに視察して良いと思っても、こうしたことも起こり得る。ダラスもハリケーンで飛行機が飛ばなくなる時もあり得る。これはどのチームも直面するかもしれないことなので。大事なのは、今あるべき、ある手札の中でどう自分たちが良い状態を作っていくかということです。選手たちはアジア予選での戦いやヨーロッパでの移動もたくさん経験しているし、それでもブレるなら、そもそも目的にはたどり着けないでしょう」
焦らず、動じず、目の前の仕事に取り組む。そんなスタンスでこの原稿を書いていたら、電気が復旧した。想定外の出来事に一喜一憂せず、与えられた環境で最善を尽くす。吉田の言葉は、取材する側にも当てはまるように思えた。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長/現地特派)
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