
森保ジャパンは勝つべき相手に勝てず、勝てない相手に勝つかもしれない。その点は4年前と変わっていない【識者コラム】
まもなく開幕する北中米ワールドカップ。日本代表はグループステージで、オランダ、チュニジア、スウェーデンと同じ組に入り、かつてないほど優位性がある。勝点4がノックアウトステージに進む一つの基準とすれば、めどが立つ。戦力的に言って、チュニジアに負けるとしたら、よほど采配で下手を打った時だし、オランダ、スウェーデンにも引き分け以上が見込める。
「史上最強」
森保ジャパンがそう称せられるのは、決して大げさではない。かつてないほど欧州でプレーする日本人選手が増えた。ブラジル、イングランドなどを撃破したように、間違いなく力はついている。前回はドイツ、コスタリカ、スペインと同じ組で厳しかったが、今回は第2ポットに入ったことが有利に働いているのは間違いない。
もっとも、参加国が36か国から48か国に大幅に増大し、ノックアウトステージがベスト16ではなく、ベスト32から始まる。それを考えたら、上位に勝ち進むのはより難しくなったと言えるかもしれない。ノックアウトステージでは、ブラジル、モロッコと当たる公算が高いのだ。
つまり、グループステージを勝ち上がるのは至上命題で、どう勝ち上がるか、が問われる。たとえばオランダ戦から主力を最大限に投入し、3試合を戦った場合、ノックステージでは疲弊している。過去の大会も、結果的に消耗を余儀なくされ、その壁を突破できなかった。主力を入れ替え、戦い方を変える“撓み”がなければ、ノックアウトステージの一歩目で力尽きるだろう。
それが現時点での森保ジャパンの展望の見立てだが…。
結局は、指揮官がそこまでどんなチーム設計、戦略を立てているか。グループステージは勝ち上がる可能性のほうが高い。しかし、それはあくまで選手の力、“戦力的に上だ”という計算によるものである。
森保一監督が率いる代表は、土壇場で力があることを示してきた。スペイン、ドイツに勝つなど、どんな名将もできるものでもない。しかし再現性は乏しく、カタールW杯でコスタリカになす術もなく負けたのはその証左だろう。その点は、今も変わっていない。むしろ、長友佑都の招集などはそこへの回帰のサインだろう。
「自分たちがボールを持つ時間を増やし、主体的に戦う」
森保監督がカタールW杯後に語った言葉は、虚しく響く。
今も森保ジャパンは勝つべき相手に勝てず、勝てない相手に勝つかもしれない。その不透明な戦いの中に、真理を見つけるのだろう。だから率直に言って、勝敗予想やスコアなど意味がない。博打はどちらにも転ぶものだからだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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