ハードウェア以外の分断
また、それ以外の課題もある。
まず、ローカルでできる範囲を超えたPrivate Cloud Computeを利用した画像生成には、1日の利用制限が設けられ、iCloud+の多くのプランを利用しているユーザーはこれを緩和するとのこと。ローカルのAIは無料で使えるが、クラウドAIはあるていどの計算リソースが必要になるから、無制限に使わせるわけにはいかないということなのだろう。
また、Siri AI、Apple Intelligenceは当初アメリカ英語のみで利用可能になり、日本語を含む多言語は『順次』と発表されている。ただし、多言語対応は制限されているわけではなく、AIモデル自体は多言語を理解できるため、実際には動作する機能も少なくないようだ。ただ、『企業としてサポートする』のは、当初アメリカ英語のみということのようだ。
さらに、 EUではDMAの制限によりApple Intelligence/Siri AIは、iPhone、iPadでは利用できない。これはiPhoneやiPadが『使用人数が多いのでDMAの使用制限にかかるデバイス』とされているからで、Mac、Apple Watch、Vision ProではApple Intelligence/Siri AIを利用出来るという。なんとも奇妙なことになってきたものだ。
中国は当局の規制要件に対応が終わるまでApple Intelligence/Siri AIは使えないという。ただ、中国は規制当局との話し合いが行われており、何らかのゴールにたどり着ける予定のようだが、EUの規制当局は、折衝自体がぐらぐらしているらしく(「完成後にゴールを動かされる」とグレッグ“Joz”ジョズウィアック氏は表現)、目処が立っていない。
今後、Apple Intelligence/Siri AIはアップルデバイスの根幹を担うようになっていくので、もしかしたらフルサポートの全世界版AppleOSと、EU、中国用のAI抜きモデル、もしくは、両国はAppleOS 27世代のまま進化しない……というような分断が起こっていくかもしれない。なんとも難しい交渉が続きそうだ。
早めに『ボーダーライン』以上の端末を導入したい
Apple Intelligence/Siri AIが今後のAppleOSの中心になっていくのは間違いないところで、最新機能を楽しみたいなら、対応したモデルに早めに買い替えておくのが賢いだろう。
実際に、Apple Intelligence/Siri AIが動作しているのを見たが、かなり便利で、すぐにこれなしではいられないようになるはずだ。早めに各製品の買い替え計画を立てておいた方が良いだろう、と筆者は思う。
(村上タクタ)