10月12日のGⅡ・アイルランドトロフィー(東京・芝1800メートル)は、GⅠ・エリザベス女王杯(11月16日、京都・芝2200メートル)の前哨戦に位置付けられている。
1着馬にはエリザベス女王杯への優先出走権が与えられるが、今回の出走メンバーを見渡すと、GⅠへの優先出走権というよりもむしろ、GⅡ初戴冠を狙って「しっかりとココを獲りにきた2頭」に食指が動く。
1頭目は、4番人気が想定されるカナテープ(牝6)。なによりも前々走のGⅢ・府中牝馬S(東京・芝1800メートル)2着⇒前走のGⅢ・関屋記念(新潟・芝1600メートル)1着を叩いての臨戦過程に、陣営の勝負度合いの高さがハッキリと見て取れる。
しかも東京の芝1800メートルは3走前の初音S(3勝クラス)1着も含め、デビュー以降、7戦して「1着3回、2着2回、3着1回、4着1回」の好戦績を誇る超得意コースなのだ。いまだGⅡ勝ちのない鞍上ともども、今回は必勝態勢とみた。
2頭目はかなりの人気薄が想定されるライラック(牝6)だ。前走のGⅢ・クイーンS(札幌・芝1800メートル)は、中団後方から脚を伸ばしての4着(0.3秒差)。今回は休み明けの前走を「調教代わり」にしての叩き2戦目である。
もともとGⅠ・エリザベス女王杯で2着(阪神)と4着(京都)、一昨年のGⅡ・府中牝馬S(東京・芝1800メートル)で3着がある実力馬。その後の成績はイマイチだが、ここへ来て牝馬特有の上昇気配が顕著に感じられるのだ。
前走のGⅢ・京成杯AH(中山・芝1600メートル)を勝ったホウホウカラーズ(牝7)は、芝の1800メートル戦での実績はあるものの、前走が絵に描いたような叩き2戦目の快勝劇だっただけに、今回は押さえの評価に留めることにした。
ちなみに、上位人気が予想される3頭のうち、アドマイヤマツリ(牝4)とセキトバイースト(牝4)の2頭は、今回が「休み明け初戦」であるという点で割り引きが必要になるだろう。また、ルメール騎乗のボンドガール(牝4)は叩き2戦目とはいえ、課題とされてきた道中での折り合いも含めて、今回はやはり距離に疑問符がつく。
(日高次郎/競馬アナリスト)

