
「潰せばいい」これが遠藤航の状態が不安視されていたにもかかわらず、守田英正を招集しなかった理由なのか。日本代表取材で目撃した“変化”
北中米ワールドカップに挑む日本代表のメンバー選考で、最も物議を醸したのは守田英正の落選だっただろう。
昨年3月を最後に招集から遠ざかっていたとはいえ、コンディションの問題とされており、チャンピオンズリーグでベスト強に進んだスポルティングで本調子を取り戻していただけに、今年の3月シリーズで復帰すると見ていた。
だが、その英国遠征でも声が掛からず、アジア最終予選ではMVP級の活躍を見せていた“日本の頭脳”は、結局選外となった。
ただ、一部で取り沙汰されているアジアカップ後の発言で外されたという意見には賛同できない。大会後も主力としてプレーし続けていたからだ。
ボランチ枠は4人で鎌田大地、佐野海舟、田中碧は外せない。さらに、発表時点では、怪我から復帰していなかったものの、キャプテンの遠藤航がW杯に間に合う見込みとなり、守田は食い込めなかったのだと見ている。
ボランチ4枚は少ないとの声もあったが、鎌田と佐野がほぼ替えの利かない存在となっている現状を考えると、5人は必要ないと考えたのだろう。さらに、森保一監督が発表後の会見で言及した通り、CBが主戦場の瀬古歩夢と板倉滉はクラブでは守備的MFでもプレーしている。これがまさにミソだった。
5月31日のアイスランド戦、左足に違和感を覚えた遠藤が予定より早いハーフタイムで交代したなか、ボランチで起用された瀬古が出足の鋭い守備と、縦につける的確なパスで攻守に躍動。失礼ながら、中盤で予想以上のパフォーマンスを発揮した。
「これが、遠藤のコンディションが不安視されていたにもかかわらず、守田英正を招集しなかった理由なのか」
合点がいった。森保監督は、クラブでのパフォーマンスを見て、瀬古がボランチで(特に守備を固めたい局面で)機能すると確信があったのだろう。もちろん、CBでの実力を評価したうえで、だ。
実際、モンテレイでの事前合宿を取材していても、瀬古は公開されている限りのフォーメーション練習では、ボランチに入っていた。これまでには、ほぼ見られなかった変化だ。
本人は「もちろんセンターバックをやりたいですよ」と言いつつも、「試合に出たいんで。チームのためならどこでもいいです」とやる気を見せる。
「言われたポジションで全力、チームのためにがむしゃらにやるだけなんで。それがボランチであろうと、ディフェンスであろうと、フォワードであろうと、やることは変わらない」
昨夏に5大リーグのひとつ、リーグ・ワンのル・アーブルに移籍。1年目にしてクラブの年間MVPに輝く活躍を見せた。そうした経験で自信を得たのだろう。日本代表でも徐々に風格を感じるようになった。
初戦で対戦するオランダには、同じリーグの名門マルセイユでプレーするMFクインテン・ティンベルがいる。印象を訊いてみた。
「けっこう上手い選手だったので、厄介な選手だなと思いますね。潰せばいいかなと」
その頼もしい言葉に思わず、「心強いです」と言ってしまった。
結局、遠藤は離脱となったが、追加招集されたのはボランチではなくFWの町野修斗。それも瀬古がいれば大丈夫だと森保監督が考えたからだろう。
取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
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