武豊騎手の凄いところは、騎乗馬の特徴を常にしっかり把握してレースに臨んでいる点だ。かつては「歩く競馬四季報」と言われたほど、騎乗馬の持ち味や癖を掴んで騎乗していたが、その姿勢は57歳になっても、基本的に変わっていない。
初騎乗で結果を出すことができた安田記念のシックスペンスなどは、そのいい例だ。スタートしてすぐに2番手に付け、直線で逃げるワールズエンドをジリジリ追いつめると、頭差かわして勝利した。騎乗するにあたり「この馬は切れるというよりはしぶといイメージ」と頭に入っていたからこそ、あのような騎乗ができたわけだ。
6月14日(日)の宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200メートル)では、連覇を懸けてメイショウタバルに騎乗する。昨年は逃げの手に出て、追いすがるベラジオオペラを3馬身突き放してみせたが、今年は逃げて結果を出している馬が他に数頭いるため、展開が読みづらい。
それでも、この馬が逃げるのではないか。武は共同記者会見で「タイプ的に自分の競馬をするだけ」と言っている。前走の大阪杯では、前半1000メートルを58秒1というハイペースで逃げ、クロワデュノールの2着に粘ってみせた。
少々ハイペースで行ってもバテないのが、この馬の大きな魅力。言うならば「肉を切って骨を断つ」作戦でレースに臨むのではないか。阪神コースを【3・1・0・0】と得意としていることも、強調できる点だ。
レーン騎手は短期免許での最終騎乗に
父ゴールドシップは2013年、2014年とこのレースを連覇している。そして中9週のローテーションは、昨年と同じだ。さらに言えば、CWでの最終追いで6F83秒3ーラスト1F10秒9を馬なりでマークしたように、デキは万全。昨年よりも相手が強くなっているため勝つのは簡単ではないが、まず好勝負は必至だろう。
武が勝てば史上初の、同一騎手での連覇となる。そしてその先には、凱旋門賞挑戦が視野に入ってくる。
他で気になるのは、ミュージアムマイルとレガレイラだ。クロワデュノールがメイショウタバルを捕まえにいくだろうから、展開が向きそうだ。ともにGⅠ勝利は全て2000メートル以上であり、距離は文句なし。暮れの有馬記念以来の一戦となるが、入念に乗り込まれ、仕上がりは上々。期待していいだろう。
なお、ミュージアムマイルに騎乗するレーン騎手は、このレースが短期免許での最終騎乗となる。気合の入った騎乗を見せてくれることだろう。
(兜志郎/競馬ライター)

