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消えゆく町の喫茶店…蝶野正洋が見た“昭和の終わり”の風景【蝶野正洋の黒の履歴書】

消えゆく町の喫茶店…蝶野正洋が見た“昭和の終わり”の風景【蝶野正洋の黒の履歴書】

蝶野正洋(C)週刊実話Web

「一皿の料理で満足」年齢とともに変わる食生活

イラン情勢がなかなか収束せず、ホルムズ海峡の封鎖を巡って一進一退の状況が続いており、中東からの石油の輸入が途絶えてしまっている。高市総理はガソリンもナフサも十分にあると言っているけど、現実的にはさまざまな生産現場で原料不足が叫ばれていて、石油由来の製品がいつストップしてもおかしくない。

ガソリン価格も今は落ち着いているけど、いつまた高騰するか分からない。俺もそうだけど、高齢者は体調的な理由で移動手段をクルマに頼らざるを得ない場合が多いから、ガソリンの価格が生活そのものに直結してしまう。

食材も高くなったけど、そこは年を取ったことで助かっている部分もある。俺の場合は単純に食べる量が若い頃の半分、下手したら4分の1ぐらいになっている。1日1回、一皿の料理を食べたら、それでもう満足して、後はいらないという日も多い。結果的に飲食費がかなり減ったんだよね。

60歳を超えた人は、だいたい同じだと思う。そう考えると、高齢化社会がより進んだら、食料の生産を減らしてもいいかもしれない。フードロスが問題になっているけど、そもそも食料を作り過ぎている部分もある。高齢者は和食が好みになってくるから、米とみそ汁と魚といった、昔ながらの献立に使うものに生産品目を絞っていくというのも効率的だと思うよ。

蝶野正洋の黒の履歴書】アーカイブ

増え続ける倒産の裏にある“継承の断絶”

全国の企業倒産件数が4年連続で前年度を上回り、過去最高になったというニュースがあったけど、俺はこれも高齢化社会の弊害だとにらんでる。もちろん不景気や円安の影響もあるけど、経営陣が高齢化して後継者もいないので、事業が継続できなくてギブアップしたというパターンも多いんじゃないかな。

ウチの近所に築50年以上の古いビルがあって、その中に昔からやっているレトロな喫茶店があるんだよ。落ち着いた雰囲気で、メニューも豊富でいいお店なんだけど、料理しているのが70代くらいのおじいちゃんで、ホールがおばあちゃんの2人だけで切り盛りしてる。これではどちらかが倒れてしまったり、次の担い手が現れなかったりしたら、すぐに廃業になってしまう。

今はただでさえ個人店の経営は厳しい。仕入れも運営も効率化された、大企業のチェーン店じゃないともたない。病院だって、個人経営の町医者みたいなところは限界を迎えていて、大手に集約されてきているというからね。

これは一般的な中小企業も似たような状況で、データには「倒産」と出ているけど、実際には店じまいというか、その代で途絶えるということなんだと思う。 

そろそろ昭和の人間が社会から退出しろということなのかもしれない。俺らが子供の頃は、まだ明治生まれのおじいちゃん・おばあちゃんがいて歴史を感じたけど、令和生まれの子供たちが社会人になってくる15年後には、昭和世代もそんな扱いになるだろうね。

今の若者に、高度経済成長期の右肩上がりの雰囲気や、バブルの活気なんかをいくら言葉で説明しても伝わらない。「それは日本の話ですか?」って言われちゃうよ。少子高齢化社会というのは、老人が若者にバトンを渡すという機会すらないというのが現実なのかもしれないね。

「週刊実話」6月18日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)
1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど〝黒のカリスマ〟として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。
配信元: 週刊実話WEB

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