「シリーズ化」連発にはハリウッドの内情が?
シリーズ3部作で見事に完結したはずでしたが、さらに『トイ・ストーリー4』(2019年)が公開されました。ウッディは人間社会から自立し、新しい冒険に旅立つというものです。ストーリーがまったく別の方向へと向かい、ヒットはしたものの、賛否が割れる結果となっています。
シリーズが続いた背景には、ハリウッドの状況も関係しています。今のハリウッドは「IPビジネス」が主流となっています。IP=知的財産、つまり人気キャラクターなどをグッズ化して、関連商品を売り、アミューズメントパークのアトラクションにするなどの多角的なビジネス展開です。
映画は「IPビジネス」を広げていくための「プラットフォーム」という位置づけになっています。ビジネス視点に立てば、映画単体の出来よりも、シリーズを続けていくことで生じる利潤が重視されていると言えるでしょう。
ディズニー社が「ピクサー」だけでなく、「ルーカスフィルム」や「マーベル・スタジオ」も買収したのは、「IPビジネス」をより幅広く展開していくためです。
ウッディたちは、おもちゃを所有する子供に飽きられたら捨てられるという恐怖と闘ってきたわけですが、現代のハリウッドではファンから飽きられるまでシリーズがずっと続くという、別の恐怖とも闘うはめになっています。

『となりのトトロ』のスピンオフ短編として『めいとこねこバス』の事例はあるが、正式なジブリ作品の「続編」は作られていない…? 画像は「短編映画パンフレット&サウンドトラックセット『めいとこねこバス』」(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
気になる「スタジオジブリ」の今後
シリーズが続いたことでボロボロになった作品として、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演したSF映画『ターミネーター』(1984年)が挙げられます。続編『ターミネーター2』(1991年)が大当たりしたことで、その後もシリーズを重ねましたが、ファンをがっかりさせる混乱した状況となっています。
ハリウッドがシリーズ化を連発しているのに対し、慎重な姿勢を見せているのが日本の「スタジオジブリ」です。宮崎駿監督らの作家性を重んじ、基本的には続編は製作していません。『となりのトトロ』(1988年)のスピンオフ作として、短編アニメ『めいとこねこバス』(2002年)が「三鷹の森ジブリ美術館」で上映されていますが、あくまでも観客の想像力に委ねる程度のものにとどめています。
宮崎監督を「師」と仰ぐ庵野秀明監督は、『風の谷のナウシカ』(1984年)に対する想い入れの強さでも知られています。はたして、庵野監督は『ナウシカ』の続編を撮るのでしょうか。こちらも気になるところです。
ビジネスが優先か、それとも美しいエンディングか。シリーズ化が続く『トイ・ストーリー』は、現代ハリウッドの悩ましいジレンマも背負っているのかもしれません。
