1936年に登場して以来、現在に至るまで90年もの間、ハーレー社が採用し続けているのがOHV方式の空冷45度Vツインエンジンだ。歴史が長く、カスタムカルチャーとも深く結びついているハーレーだけあって、これまでにさまざまな機種が存在しているのはご存じの通りだが、ヴィンテージ市場にはもとの車種を判別することが難しいハードなカスタムも珍しくない。だからこそ、車種名以上にキャラクターを表す鍵となるのが、90年間採用され続けている歴代エンジンというワケだ。このVツインエンジン、ハーレーに興味をもったばかりの人なら、もしかすると少し見た目が違う程度で、ほとんど同じに見えてしまうかもしれない。だが、現在搭載されているもので6世代目。製造技術の進歩やメカニズムの進化に合わせて、世代交代を繰り返しながら現在に至っているため、それぞれに特徴が明確に違う。また、時代ごとに求められてきた性能も異なるが故に、キャラクターもかなり違うのだ。そんなワケで、ここに紹介する各世代のエンジンには、それぞれ根強いファンが存在する。そんなところも他のメーカーとは違うハーレーならではの特徴といえるだろう。
1936~1947 ナックルヘッド|時代先取りのOHVで性能が向上
ハーレーはもちろん、最大のライバルであった「インディアン」も、吸排気バルブをシリンダー横に配した「サイドバルブ」方式を採用していた時代。当時はまだ技術的に実現が難しかった「オーバーヘッドバルブ(OHV)」方式を量産車に投入し、革新的な高性能さとプレミアム感で人気となった。エンジン腰下にあるカムの動きを、プッシュロッドを介してロッカーアームに伝えて、ヘッド上部のバルブを開閉する。

1000㏄のELに加え、1941年に1200㏄のFLが登場

1941 FL

1936 EL
1948~1965 パンヘッド|ヘッドからのオイル飛散を解消
ナックルヘッドはロッカーカバーがヘッド完全に覆う構造ではなかったため、オイル漏れが非常に多かった。そこで、これをしっかりと密閉できる構造に刷新。さらにオイルポンプを見直して、ヘッド上部にオイルが運ばれなくなるというトラブルを改善した。また、さらなる高出力化を目指し、耐久性と耐熱性を高めるべく、強度があって、かつ放熱性に優れた初のアルミ製シリンダーヘッドを採用した。

リジッドフレームから前後サス付きに進化

1958 デュオグライド

1949 ハイドラグライド